佳作紹介

「木の橋」 撮影地:小川町
撮影者:野口仲一さん(さいたま市)

 今どき、こんな橋があるのかと驚きをおぼえる。また、この橋を軽やかに渡る男の子の様子にもいっそう驚く。さらには、この瞬間を捉えた撮影者のセンスにも驚きを禁じ得ない。子供と橋を上下に映し出す水鏡が不思議な世界を演出した。

「生命力」 撮影地:秩父市
撮影者:堀之内稔さん(越谷市)

 写真からは木の種類は分からないが、いわゆる巨木、銘木の類いではなさそうだ。山の断崖にしっかりと根を張りそびえる様は、タイトル通りの「生命力」を感じさせる。構図としては、ややアンバランスではあるが、左上から右下に延びるゴツゴツした根は赤みを帯び、見る人に強いインパクトを与える。

「初雪の里」 撮影地:寄居町
撮影者:武内道直さん(寄居町)

 やや赤みがかった光線から想像すると、初雪後の朝の撮影であろうか。手前にある雪をかぶったスギ林の向こうには麓の集落が見える。雲間を通して、その集落に光が当たり、墨絵のような世界が展開している。初雪の時に現れる美しい風景は、瞬時のうちに溶けて消え失せてしまう。撮影者は、時を置かず撮影ポイントに馳せ参じたのであろう。その努力が報われた一コマである。

「花の中で」 撮影地:秩父市
撮影者:島ア直助さん(秩父市) 

 早春の秩父路。農家のお年寄りが野良仕事に出かけるところか。満開のハナモモと菜の花のど真ん中に人物が来るように、シャッターチャンスを待ったのであろう。舞台背景と登場人物の組み合わせには文句はないが、計算し過ぎている感じは否めない。また、横位置で撮影したらどうだったのか、題材が良かっただけに気になるところである。

「都幾慕情」 撮影地:東松山市
撮影者:長谷川愼一さん(東松山市)

 撮影者によると「夕立の後に、立ちこめた靄に夕陽があたっている」状況だとのこと。川から立ち上る靄が周囲の山々にもかかり、夕陽が山の端を浮かび上がらせている。画面中央部分をよく見ると、川をせき止めている堰であろうか、その堰の上を水が白波を立てて流れ落ちている。黒とオレンジ色でまとめた幻想の世界が現出している。

「伝統を守る」 撮影地:秩父市
撮影者:浅見彰夫さん(飯能市)

 秩父市吉田町では、毎年5月4日、子どもたちが中心となって行われる伝統行事「塚越の花まつり」が開催される。写真は、その花祭りのワンシーンで、新緑の木々を背景に花を撒きながらにこやかに歩を進める子供たちの様子である。花で表情は見えないが、伝統を守り参加する子供らを温かく見守る観客の様子も伝わってくる。

「皆のために」 撮影地:嵐山町
撮影者:杉田庄治さん(嵐山町)

 新緑の森の中に開設された遊歩道。その遊歩道の整備に汗を流すボランティアの親子の様子を捉えた一コマである。男性作業者に混じり、ふだん握ったことのない道具を手にしながら一生懸命に作業にいそしむ手つきが初々しい。もう少し親子の表情がわかるとさらに良かった。

「郷里(ふるさと)」 撮影地:秩父市
撮影者:逸見照三さん(小鹿野町)

 急斜面に点在する民家と畑。鮮やかに紅葉する木々に囲まれた集落の様子が、美しく描写されている。湧き上がる霧が奥深い山里を演出し、これから来る厳しい冬の到来をイメージさせる。一幅の絵画を見ているかのような山村風景である。

「二色の絨毯」 撮影地:飯能市
撮影者:佐藤信弘さん(飯能市)

 人が人為的にオレンジ色と黄色に塗り分けたような、見事な落ち葉の絨毯である。撮影者の説明では廃校となった高山小学校(飯能市)の校舎とその校庭の様子だとのこと。晩秋のもの悲しい風景だが、色の鮮やかさと手前から奥に収束するパースペクティブ(遠近感)が見る者の目を捉え強く迫る。

「森林浴」 撮影地:所沢市
撮影者:栗田昌明さん(所沢市)

 早朝、公園で体操にいそしむ市民仲間の様子である。背景には朝靄が立ちこめ、地面にはびっしりと敷きつめられたような落葉が見える。逆光で撮影しているため人々の姿がシルエットとなり、画面全体のセピア調が秋の深まりを知らせている。良いシャッターチャンスをものにした。なお、左端の細い樹をカットすると画面に広がりが出たのだが。。

「ツリークライミング」 撮影地:吉見町
撮影者:新堀勝彦さん(日高市)

 木や森、自然環境などに親しんでもらおうというツリークライミングは、近年、アウトドア体験の一つとして広がりを見せている。写真は、吉見町で行われたイベントで撮影されたもので、ケヤキの大木にロープをかけ、子供たちが思い思いに力を込めて一生懸命に登っている。下から仰ぐように撮っているので高さも強調され、子供たちの様子が直に伝わってくる。

「春のひととき」 撮影地:秩父市
撮影者:新井 稔さん(久喜市)

 広角レンズで画面全体にサクラをバランス良く写し込み、さらに奥中央部分に武甲山の山体を入れ、中央やや右に添景として何かに興じている二人の女性を取り込みんでいる。綿密に計算されたような画面構成だ。春爛漫の羊山公園でスナップしたタイトルにふさわしい作品だ。

「晩秋の山」 撮影地:秩父市
撮影者:関根伊佐男さん(皆野町)

 山の木々が最後の彩りを放つ晩秋の山々の様子である。朝霧が麓の渓流沿いに立ちこめ、あたかも水のように少しずつ流れ動く状況をタイミング良く撮影している。白い霧と木々の紅葉のコントラストが美しい。可能ならカメラを少し左に振り、霧をもう少し中央に寄せたかった。