優秀作品紹介

特選・埼玉県知事賞

「未来への手入れ」 撮影地:横瀬町
撮影者:下村光男さん(入間市)

 秩父札所八番の西善寺。その西善寺の境内には、樹齢600年といわれるコミネカエデの巨木が鎮座する。紅葉の季節ともなれば、その美しい姿を見ようと多くの参拝客が訪れる。どっしりと構え、色鮮やかな紅色に包まれるその姿は人々を魅了する。この写真は、巨樹にダメージを与える苔などを取り除き、守りいたわる植木職人さんらの作業風景を撮影したものである。左右に広がる巨樹の姿をバランス良く真ん中に取り込み、添景となる職人さんらの姿を配することで、巨樹の迫力と人との関わりを上手に表現している。オフシーズンでしか見られない貴重なカットである。

準特選・埼玉県緑化推進委員会賞

「美の山祭り」 撮影地:皆野町
撮影者:風間大治さん(秩父市)

 毎年5月3日に行われる「美の山八十八夜祭り」の御神幸行列の様子である。猿田彦の命を先導に美の山中腹の蓑山(みのやま)神社を出発して山頂の御旅所に向けて、太鼓や笛を奏でながら賑やかに行列が進む。目にしみる新緑とオレンジのヤマツツジをバランス良く背景に取り入れ、行列の参加者等の表情も上手に写し撮った。今にもお囃子が聞こえてくるかのような場面である。

準特選・埼玉新聞社賞

「初雪!!早過ぎませんか?」 撮影地:秩父市
撮影者:彦久保秀幸さん(上尾市)

 11月下旬、晩秋とはいえ、まだ紅葉の最中に初雪に見舞われた。写真中央左奥に赤みを帯びたその様子が見て取れる。手前の木々や周辺の山々にうっすらと雪が積もり、そこに斜めになった陽の光が当たり、より立体的に浮かび上がらせている。また、この頃によく見られる秩父盆地の雲海もたなびき、タイトル通りの早い冬の到来の様子を見事にものにした。

優秀賞・ダイドードリンコ賞

「森林の湧き水」 撮影地:横瀬町
撮影者:馬場勝美さん(秩父市)

 緑の下草に覆われた斜面から湧き出る清水に手を差し出し、さも「冷たーいと」言わんばかりの男の子の表情が愛らしい。少し暗めのスギ林を背景にしたことで、登場人物の様子が強調された。

優秀賞・埼玉りそな銀行賞

「マジックアーム」 撮影地:日高市
撮影者:庄司博さん(日高市)

 重機のアームが、伐採現場から運び出した間伐木をフォワーダの荷台からつかみ取り、林道脇に下ろしている。一見、何気ない作業風景だが、撮影許可をもらって足場の悪い作業現場に立ち入り、積み卸し作業をタイミング良くカメラに収めるのは、なかなか難しい。みるみるうちに作業が進むのを目の当たりにして、まさに「マジック」と感じたのであろう。その状況が上手に込められた一コマである。

優秀賞・埼玉県治山林道協会賞

「和景観」 撮影地:東秩父村
撮影者:村上勇さん(深谷市)

 東秩父村「手漉き和紙の里」での早春夜景だ。サクラが散りかけ花びらが水面に落ち、花筏を浮かべている。よく見るとスローシャッターを切っているので、花筏が動いて流れている様子が見て取れる。撮影者によると水面が暗いのでストロボを何回か発光させているとのこと。ライトアップされた古民家のたたずまいとその背景のスギ木立があいまって「春の宵闇」がうまく表現されている。

優秀賞・日本製紙賞

「鯉の季節」 撮影地:東秩父村
撮影者:佐藤常利さん(皆野町)

 早春の見事な春紅葉である。木々の芽吹きだけでなく、ヤマザクラやソメイヨシノも色を添えている。常緑樹の濃い緑もさらに春紅葉を引き立たせている。ふと目をやると、2匹の鯉のぼりがはためいている。これだけ鮮やかな彩色の中に鯉のぼりを見つけ撮影した撮影者のカメラアイは、なかなかのものである。題名には思わず微笑んでしまう。

審査総評

 今年で26回目を迎えた埼玉森林フォトコンテストは、応募点数393点と昨年をやや下回ったが「内容的には、昨年に勝るとも劣らぬ出来映え」であった。

 さて、ここ数年、目立ってきた傾向として、全体的にカラフルでメリハリのついた作品が多く寄せられるようになっている。審査委員の皆さんも、並べられた作品をひと目見て「今年の作品は何とカラフルなんだろう」との感想を述べられた。その大きな理由の一つとして、デジタル技術の発達もさることながら、撮影者の皆さんが季節のはっきりした時期に撮影した作品が多かったとも言えよう。撮影対象も、森林風景や山村風景、森林の手入れの様子、森(みどり)の中でのイベント風景などなど広範にわたり、選定作業にも熱が入った。上位入賞には至らなかったが、秋の山村風景を描写した作品「郷里」や力強く延びる古樹の様子を活写した作品「生命力」など力作揃いに目が行った。

 今年も美しい本県の里山風景や身近な公園の緑などを活写した作品が多く寄せられ、しかもそこには、人々がそれらを守り育てたり、利用したりするなどの様子がさりげなく映し出されていた。