埼玉新聞ロゴ

2017.1.23

梅野弘之の入試コラムA

理社の時間延長で有利になる人

試験時間の延長が合否を左右する可能性も

28年度入試の各教科の問題数(小問数)は、多い順に、理科34問、社会33問、英語31問、国語24問、数学21問でした。

理科・社会の問題数が他教科より多いのは、ほぼ毎年のことです。しかし、試験時間は他教科より短かったのです。その結果、後半の問題ほど誤答や無答の割合が増える傾向が見られました。そこで29年度入試から、じっくりと問題に取り組めるように時間を10分延長することにしたのです。

あきらめない人はさらに高得点が期待できる

時間延長の影響が一番出やすいのは論述問題でしょう。記号や単語ではなく文章で答える問題です。28年度入試では、理科で7問、社会で6問ありました。配点はそれぞれ4点から5点で、記号や単語で答える問題より高くなっています。

これらの問題は、いわゆる「部分点」がもらえます。問題を見た瞬間は難しいと思っても、簡単にはあきらめず、粘り強く取り組むタイプの人は、今までもここで得点を積み重ねていましたが、時間延長により、こうした傾向はさらに強まると予想されます。

「資料読み取り問題」は絶対に落とせない問題に

社会では毎年、「資料読み取り問題」と呼ばれる問題が出されています。知識を問うているものではなく、落ち着いて取り組めば必ず正答できるはずの問題ですが、実際には3割またはそれ以上の人が得点できていません。

基本的な国語(日本語)の読解力と、小学生レベルの数学(算数)の計算力さえあれば、社会科の知識と関係なく解けますから、10分の時間延長は、こうした問題を「絶対に落とせない問題」に変えて行くものと考えられます。

論述で点数を取らせるための時間延長

時間延長により、「思考力と表現力」が求められる問題において、今まで以上に高得点がねらいやすくなりました。ということは、こうした問題をしっかり練習して本番に臨んだ人にとっては、10分延長は大きな意味を持ちますが、そうでない人にとっては、ほとんど意味がないということになります。

時間延長を自分にとって有利なものにしたいのなら、残された期間を、知識を増やしたり確実にしたりするために使うよりも、論述問題で1点でも2点でも多く取るための練習に費やしたほうがいいでしょう。

梅野弘之氏

一般社団法人埼玉学力向上協会理事長。元埼玉県公立高校教諭。広告会社・出版社勤務を経て、平成10年、株式会社メディアバンクスを設立。中学校・高校の募集・広報コンサルティング、入試関連イベント・同テレビ番組の企画、進学情報誌の編集発行などに携わる。入試関連イベントでは、さいたまスーパーアリーナで毎夏開催される「彩の国進学フェア」、同テレビ番組では、テレビ埼玉入試特番「公立高校入試の傾向と対策」などがよく知られている。全県の中学生に配布されている「よみうり進学メディア」の編集も担当。同紙に執筆中の「受験生?(はてな)」は、人気連載のひとつとなっている。昭和26年(1951年)、浦和市(現さいたま市)生まれ。埼玉県立浦和高等学校・上智大学卒業。