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埼玉県公立高校入試問題予想

2018.2.4掲載用

国語(3)

練習しよう

 次の文章を読んで、心情が読み取れるところに下線を引き、場面が変わるところに 『 を書き込もう。

 Hが学校から帰っても、父親はまだ帰っていなかった。夕方になっても帰ってこなかった。母親は、「三宮のどこへ行くといっていた?」とHにしつこく聞いたが、「どこか知らん」とだけしか言わなかった。Hは、父親がいまどこでどんな調べを受けているのか想像すると、胸がドキドキした。

 八時ごろ、やっと父の盛夫が帰ってきた。一時間ほどして父親が、「ちょっと二階へきて」とHを呼んだ。「あんたは、ステーブルス先生から送ってもろうたニューヨークのビルの絵はがきまだ持ってるか? もし持ってたら、ちょっと貸してんか。明日もう一度行くことになってるんや」

 Hは心臓がぐっとのどのところまでせり上がるようなショックを受けた。

 「ぼくのあの絵はがきのことで、お父ちゃんが引っ張られたの?」

 「そうやない。心配せんでもええ。あした一日だけですむと思う」といったが、「だれかが警察に絵はがきのことを密告したんやな。そうでなかったら、ぼくの引き出しの中にある絵はがきのことを警察が知ってるわけがない。やっぱりスパイがおるんや。ぼくがお父ちゃんのかたき討ちしたる!」とHは興奮していた。すると父親は、

 「やめとき。この前もいうたろう。スパイ探しをやってたら、あんたもいやな人間になってしまうで。その人を突き止めてもなんにもならん。もっと仲が悪うなるだけや」

 なんや、ええかっこういうんやな、とHは父親に腹がたった。絶対に探して、こんなことになった責任をとらすぞ、と決心した。( せのかっ 「少年H」より)

H30年度 埼玉県入試予想問題

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

高校一年生の女子、 かまみず は、陸上競技部に所属し、選手として駅伝に参加した。しかし、 たすき を受け取る直前に、入院中の母がいなくなったことを知らされ、無断で姿を消したため、チームは途中棄権となってしまった。本文は、その後行なわれた新人陸上大会のあとのミーティングの場面である。

(チームメイト) かわ なんばら …三年生部員。 はた …二年生部員。 みのり あゆむ …一年生部員。

おずおずと皆の前に立った瑞希は、まず畑谷さんに向かってお辞儀をした。

その様子を上級生達が射るような目で見ている。

「畑谷さん、優勝おめでとうございます。今日は、いつも以上に素晴らしかったです。……あんな風に最初からペースを上げるのは、怖くてなかなか出来ない事です。 すご いです。そして、こないだは、……私は迷惑をかけてしまい、皆で走る事の意味をもう一度考えました。この大会で勝って……」

瑞希は「うっ」と言葉に詰まる。

「……勝って、私の気持ちを見せるつもりでした。でも、負けてしまい……。すみません」

 二位も凄い成績には違いなかったが、瑞希は「絶対に勝ちます」と言って、戻ってきたのだ。

  たか 先生の言葉が改めて重たく響く。

(差し当たっては蒲池は駅伝のメンバーから外す。県予選以降についても白紙だ)

 瑞希の今後は白紙なのだ。そして、これから駅伝シーズンに入り、トラック競技はオフシーズンとなる  

「自分がどれだけ走りたいのかを……。許されるなら、また、みんなと一緒に走りたかった……。でも……。機会を与えてもらい、感謝していま……す」

 @瑞希は小さくお辞儀をし、一歩 退 しりぞ いた。

 南原さんが「お疲れ」と言いながら、小さく拍手する。つられて皆も手を たた き始め、ぱらぱらとした拍手が起こった。

「蒲池」

拍手が鳴り止むと、 とう コーチが瑞希に歩み寄る。

「本当に強い選手というのは、速いだけじゃない。態度も行き届いているんだ。練習はもちろんの事、毎日の生活をちゃんとする。自分が走らない時は応援に回り、他の部員達に目を配る。畑谷にあって、お前にないものがそれだ」

 再び、辺りは緊張に包まれる。

「チームの雰囲気がいい時は、強い選手を目標に他の選手達が頑張っている。レギュラーとレギュラー以外の関係がうまく み合って、皆で頑張る空気が部内全体に行き渡ると、気合の こも った練習ができる」

「……は……い」

 コーチが河合さんを見た。

「皆で話し合ったのか?」

「その前に、蒲池さんと話させて下さい」

 河合さんが進み出ると、瑞希の顔をじっと見た。

「優勝してみせると言ってたけど? あれは うそ だったの?」

「申し訳ありません……。私の考えが甘かったです。……先輩達を助けるどころか、自分の事もちゃんとできなくて……」

  だんだん と声が小さくなり、最後は言葉が途切れてしまった。

うぬ れてたんでしょう? 九州限定の大会なんて、片手間で勝てるって。適当に休んで、気分次第で練習に参加。一週間、やっつけで練習して勝てるほど甘くないよ」

 河合さんの言葉は、いつにも増して鋭い。

 誰も動けなかった。

 畑谷さんも稔も、口を開いたまま、その様子を見ている。

 無限に続くかと思われた重苦しい時間を破ったのは、他ならぬ河合さんだった。

「本当に走りたいの? 本当に、今度こそみんなと一緒に全国を目指す? 二度と、襷を えさせるような をせずに」

「わ、私には、そんな資格ありません……」

 瑞希は激しく首を振った。瑞希は声を詰まらせ、ぽろぽろと涙をこぼした。

「そう。私達は一緒に走って欲しいけど」

 河合さんが南原さんに目配せをした。南原さんが うなず いている。

A瑞希は戸惑ったように、二人の顔を交互に見ている。

「……私を仲間に入れてくれるんですか?」

「蒲池は変わった。戻ってきてから様子を見てたけど、進んで雑用をやって、

 反省しているのが伝わってきた。この大会でも、自分が負けたのに腐らず、畑谷に声援を送っていた。私達が求めているのは速いだけじゃなくて、そういう事ができる子。それに……、私達も感情的になり過ぎてた」

 歩は叫び出しそうになり、口元を おお った。

    やった!

心の中で、ガッツポーズをとる。

上級生達が顔を見合わせ、「やれやれ」という表情をしている。

はすきょう 「襷を、君に。」より〕

問 1 @瑞希は小さくお辞儀をし、一歩退いた。 とありますが、このときの瑞希の心情として適切でないものを次のア〜エの中から一つ選び、その記号を書きなさい。

 ア 自分に対する部員の冷たい態度を不満に思っている。

 イ 大会で結果が出せなかったことを無念に思っている。

 ウ もう仲間と一緒に走れないことを寂しく思っている。

 エ ばんかいする機会を与えてもらいありがたく思っている。

問 2 A瑞希は戸惑ったように、二人の顔を交互に見ている。 とありますが、瑞希がこのように戸惑っている理由を次のようにまとめるとき、空欄にあてはまる内容を、資格先輩達の二つの言葉を使って、三十五字以上、四十五字以内で書きなさい。ただし、二つの言葉を使う順序は問いません。

 自分には                                   35          45  信じられなかったから。