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埼玉県公立高校入試問題予想

2017.2.3

国語C

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1 次の文章を読んで、後の問に答えなさい。

 一事を必ず さんと思はば、他の事の破るる(失敗する)をもいたむべからず(嘆いてはいけない)。人の あざけ りをも づべからず。万事にかへずしては(あらゆることと引きかえにしなくては)、一の大事成るべからず。

 人の 数多 あまた (たくさん)ありける中にて、ある者、「ますほの すすき 、まそほの薄などといふ事あり。わたのべの ひじり 、この事を伝へ知りたり。」と語りけるを、 登蓮 とうれん 法師、その場に はべ りける(おりました)が聞きて、雨の降りけるに、「 蓑笠 みのかさ やある(ありますか)、貸したまへ。かの薄の事習ひに、わたのべの聖のがり たず ねまからん(たずねて参りましょう)。」と言ひけるを、「あまりにも 物騒 ものさわ がし(せっかちだ)。雨やみてこそ(雨がやんでから行くのがよい)。」と人の言ひければ、「 無下 むげ (とんでもない)事をも おほ せらるる(おっしゃる)ものかな。人の命は、雨の晴れ間をも待つものかは。我も死に、聖も せなば(死んでしまったら)、尋ね聞きてんや(聞けようか、いや聞けない)。」とて、走り出でて行きつつ、習ひ侍りにけりと申し伝へたるこそ、ゆゆしくありがたう おぼ ゆれ(すばらしくてめったにないことと思われる)。

 「 きときは(機敏に行えば) すなわち こう あり(成功する)。」とぞ、 論語 ろんご と言ふ ふみ (書物)にも侍るなる(書いてあるようです)。

(「 徒然草 つれづれぐさ 」による)

(注)

  ますほの薄、まそほの薄=穂が赤味を帯びたすすきのこと。どちらも同じすすきの呼び方だが、直後の「この事」とは、このような二つの呼び 名ができた古来の言い伝えを指す。

  わたのべの聖     =渡辺(地名)に住む修行者。

  〜のがり       =〜のもと、〜のところ。

  〜ものかは。     =〜だろうか、いや、そうではない(反語)。

問一 「思はば」を現代かなづかいに直し、すべてひらがなで書きなさい。

問二 ア〜エの中から、その主語にあたるものが他と異なるものを一つ選び、その記号を書きなさい。

問三 本文の内容に合うものを次から一つ選び、その記号を書きなさい。

 ア 人からの忠告や激励にこたえて、自分の知らない知識を持つ人をすぐに訪問し習得した登蓮法師の生き ざま に筆者は感心している。

 イ 天候の しや人の非難に まどわ わされず、自分の力で学べないものはないと信じ行動した登蓮法師の生き方を筆者は評価している。

 ウ ある知識を持っている人がいると知って、なにをおいてもその人のもとを訪ねて学んだ登蓮法師の生き方を筆者は賞賛している。

 エ 誰かが珍しい知識を得たと聞いて、だれよりも早くそれを手に入れることを求め続けた登蓮法師の生き様に筆者は賛同している。

2 次の文章を読んで、後の問に答えなさい。

 この世に、いかでかかることありけむ(どうしてこんなことがあったのだろう)と、めでたくおぼゆることは、 ふみ こそはべれな(ですよ)。『枕草子』に返す返す申してはべるめれば(いるようですので)、こと新しく申すにば およ ばねど、@なほいとめでたきものなりはる かなる世界にかき離れて(離れ住んで)、A 幾年 いくとせ あひ見ぬ(何年も会っていない)人なれど(でも)、文といふものだに見つれば(さえ見ると)、ただ今さし向かひたる 心地 ここち して、なかなか(かえって)、うち向かひては思ふほども続けやらぬ(言い続けられない)心の色もあらはし言はまほしきこと(言いたいこと)をもこまごまと書きくしたるを見る心地は、めづらしく、うれしく、あひ向かひたるに おと りてやはある(劣っているだろうか、いや劣ってはいない)。

(「 無名草子 むみゃうざうし 」より)

問一     部「あらはし」を現代かなづかいに直しなさい。

問二     部@「なほいとめでたきものなり」の現代語訳として最も適切なものを、次のア〜エの中から一つ選び、その記号を書きなさい。

 ア なにより、一番におめでたいものである

 イ やはり、たいそうすばらしいものである

 ウ なにより、非常にありがたいものである

 エ やはり、なんとなくうれしいものである

問三     部A「幾年あひ見ぬ」と意味の上で対になっている表現を、本文中から十字で書き抜きなさい。

問四 本文の内容に合っているものを、次のア〜エの中から一つ選び、その記号を書きなさい。

 ア 『枕草子』にも繰り返し取り上げられているように、手紙ほど話題になるものも珍しい。

 イ 『枕草子』に書かれているとおり、手紙さえ交わしていれば、直接会って話をする必要はない。

 ウ 手紙なら大切に保管することができ、読み返すことで、会って話をしているような気持ちにもなれる。

 エ 人と会って話すこともよいが、直接にはうまく言えない思いを くわ しく書いた手紙を読むのもよいものだ。

3 次の文章を読んで、後の問に答えなさい。

故持明院 こぢみやうゐん 中納言入道 ちゅうなごんにふだう 、ある時、秘蔵の 太刀 たち (大切にしまっていた刀)を盗まれたりけるに、 さぶらひ の中に(仕えていた家来の中に)犯人ありけるを、 の侍 沙汰 さた いだ して(他の家来が取り調べて、刀を見つけ出して)、 まい らせたりしに(お返し申し上げたところ)、入道の はく、「これは、我が太刀にあらず。 僻事 ひがごと なり(間違いだ)。」とて、返したり。 決定 けつぢやう (まさしく)その太刀なれども、侍の 恥辱 ちじよく (恥ずかしさ)を思うて返されたりと、 人皆 ひとみな 、@これを知りけれども、その時は 無為 ぶゐ にて(何事もなくて)過ぎし。故に、子孫も 繁昌 はんじやう せり(入道の子孫も繁栄している)。A ぞく なほ(俗世間の人でもやはり)、心あるは、かくのごとし。 いは んや(ましてや)、 出家人 しゆつけにん は、必ず、この心あるべし。 ほか (他人)の、無道心なる僻事なんどを、 じき に、 おもて あら はし、非に落とすべからず。はうべん(上手な手段)を もつ かれ (相手が)腹立つまじよう に云ふべきなり。たとひ(たとえ)、法を もつ 呵責 かしゃく すれども(仏の教えに基づいて責めしかっても)、荒き ことば なるは、法も久しからざるなり(長続きしないのである)。

(「 正法眼蔵随聞記 しようぼうげんぞうすいもんき 」より)

(注)故持明院の中納言入道…… 一条基家 いちじようもといえ 。平安時代末〜鎌倉時代初期の人。

   無道心……仏道を修めようとする心がないこと。

問一     部を現代かなづかいに直し、すべてひらがなで書きなさい。

問二     部@はどのような内容を表していますか。最も適切なものを、次のア〜エの中から一つ選び、その記号を書きなさい。

 ア 入道の大事にしまっていた刀が盗まれてしまったこと。

 イ 刀を盗んだ犯人が入道の家来の中に隠れていたこと。

 ウ 見つけ出された刀が入道の秘蔵の刀ではなかったこと。

 エ 刀を盗んだ家来を気遣って入道がうそをついたこと。

問三     部Aと対比して用いられている言葉を、文章中から書き抜きなさい。

問四 この文章は内容のうえから前半と後半に分けられます。どこで分けるのがよいか、前半の終わりの五字を書き抜きなさい(句読点もふくみます)。

問五 この文章について、先生とAさん、Bさんは次のような会話をしました。

 これを読んで、あとの問いに答えなさい。

 先生   この文章はもともと仏教に関する話ですが、現代にも通じるようなことがありますね。みなさんはどのようなことを感じ取ったでしょうか。

 Aさん  私は、「心あるは、かくのごとし」というところから、相手の立場を思いやる心をもつことは、大切なことだなと感じました。

 Bさん  僕は、Tという内容にはっとしました。それは、以前、僕の方が正しかったのに、言い方がまずくて、相手が腹を立ててしまい、困ったことがあったからです。

 先生   二人の意見をまとめてみると、同じことを伝えるにしても、「人を見てUを説け」ということわざのように、相手に応じて慎重に言葉や説明の仕方を選び、工夫することが大事だと言えるでしょうね。

 (1) Tに当てはまる言葉として最も適切なものを、次のア〜エの中から一つ選び、その記号を書きなさい。

  ア 相手の間違いなどを、すぐさま表情に出して、非難してはいけない

  イ 相手の間違いなどを、率直に注意し、次は成功するよう導く方がよい

  ウ 相手から間違いなどを、面と向かって注意されたときは、感謝すべきだ

  エ 相手が間違いなどを、正直に認めたときは、責めとがめてはならない

 (2) 会話の内容にふさわしいことわざとなるように、Uに当てはまる最も適切な言葉を、古文中から漢字一字で書き抜きなさい。

埼玉県公立高校入試問題予想 国語 課題作文

1 原稿用紙の書き方

 基本ルール

 @算用数字は漢数字にする。(例1)

→ 正

 A算用数字は漢数字にする。(例2)

10 → 正

 B英字は使わない(カタカナにする)。

→ 正

※単位(「%」「m」など)は「パーセント」「メートル」のようにカタカナで書く。

 C本来の日本語にない記号は、原則使わない(例、? ! )

→ 正

 D小数点は、「.」でなく、「・」を使う。

 Eアルファベットの略語(「EU」「WTO」など)は、縦書きのまま書く。

 F会話している際の沈黙や、文末に余韻を残したいとき、省略するときなどに使うリーダー(……)は、二マス分使う。

2 かなづかい・漢字とひらがなの使い分け

(1) かなづかい

 @ 主語を表す「は」…「わ」と発音しても「は」を使う。

   (例)「私は」「昨日は」 

   他に「こんにちは(あいさつ)」なども「は」を使う。

 A オ段の長音は、オ段のかなに「う」を添えるのが原則です。

   (例)おとうさん(お父さん)、とうだい(灯台)、おうぎ(扇)

  ※ただし以下のような例外あり。

   (例)いきどおる(憤る)、おおい(多い)、おおう(覆う)、おおかみ(狼)、おおきい(大きい)、おおやけ(公)、こおり(氷)、とおい(遠い)、とおる(通る)・ほのお(炎)、もよおす(催す)

 B「ぢ、づ」は、原則「じ、ず」を使う。

   (例)いちじるしい(著しい)・じめん(地面)・ずが(図画)、ぬのじ(布地)・りゃくず(略図)

ただし、次の場合は、「ぢ、づ」を使う。

  ・もとの語の読みが「ち」「つ」で、二語以上のつながりから濁音となったもの。

   (例)はなぢ、みかづき

  ・同じ音が続いて濁音となったもの。

   (例)ちぢむ、つづけて

(2) 漢字とひらがなの使い分け

 漢字を多用すればよいというわけではありません。以下のものは、漢字で書かずに、ひらがなで書くのが普通です。

 @ 形式名詞はふつうひらがなで書く。

 ・事→こと  ・時→とき  ・物→もの  ・所→ところ

 ・〜の通り→〜のとおり  ・〜の方→〜のほう

  ※「時が過ぎていく」など、「事・時・物」を主語として使う場合は、漢字で書きます。

 A 補助動詞はふつうひらがなで書く。

  ・〜(て)いく   (例)遠ざかっていく街並み。

  ・〜(て)いただく (例)購入していただく

  ・〜(て)いる   (例)交渉が続いている

  ・〜(て)おく   (例)準備を済ませておく

  ・〜(て)くる   (例)だんだんとわかってくる

  ・〜(て)みる   (例)実際に着てみる

 B その他の例

  ・沢山→たくさん  ・色々→いろいろ  ・出来る→できる

  ・例え・喩え→たとえ  ・良い→よい  ・無い→ない 

  ・〜の様に→〜のように

3 文体の統一

(1) 常体と敬体

 「文体」には、常体「だ・である調」敬体「です・ます調」の二種類があります。特に指定がなければ、どちらか書きやすいほうでかまいません。注意しなくてはいけないのは、常体と敬体が混合しないようにすることです。ありがちなのが、書き始めは「私は著者の意見に賛成だ。」というように、「だ・である調」になっているのに、途中から「このときの経験は、今でもはっきりと覚えています。」と「です・ます調」に変化してしまっているケースです。文体はどちらかに統一するのがルールです。文体を混合しないように注意しましょう。

(2) 「話し言葉」と「書き言葉」

 作文は、基本的に「書き言葉」で書きます。ついふだん使っている、くだけた「話し言葉」を使ってしまいがちですが、左の対照表を参考に、適切な「書き言葉」を選んで使えるようにしましょう。

話し言葉 書き言葉
あんまり あまり
いっぱい 多く・たくさん
いろんな いろいろな
ちょっと すこし・多少
でも しかし・けれども
すごく 非常に
でかい 大きい
どっちにしろ いずれにせよ
とっても とても・非常に
〜しちゃった 〜してしまった
〜してた 〜していた
〜しとく 〜しておく
〜しなくちゃ 〜しなくては
〜じゃない 〜ではない
〜だけど 〜だが
〜っていう 〜という
〜とゆう 〜という
なので だから・したがって

解説

スクール21(株式会社エジュテックジャパン)

小学部・中学部を中心とした学習塾。県立難関校の合格データを蓄積した指導には定評がある。

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