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2016.6.14

教育強化で留学生誘致

タン・セオ・クン

城西大学経済学部助教

タン・セオ・クン

タン・セオ・クン マレーシアのスルタン・イドリス教育大学教育学部卒業。専門は英語教育法。私立高等学校(マレーシア)教員、ドゥンク・アブドゥル・ラーマン大学(マレーシア)講師を経て、14年城西大学経営学部助教、16年経済学部助教に就任。

■教育が商品

グローバル化した世界では、「教育」自体がグローバル市場で販売、購入される商品と考えられています。グローバル化により、2014年に500万人以上の学生が、外国で留学していると推定され、2000年実績の約210万人と比較して、2倍以上に増加しました。

ユネスコ統計(14年)によると、留学先国のトップ20カ国ランキングの中で、日本は7位にランクされています。上位には米国、英国、フランス、オーストラリア、ドイツ、ロシアがいます。日本はアジア地域では1位です。

近い将来、お金や貿易商品のように「教育」はもっと自由に国境を越えて流れると考えられており、知識やスキルについても同様です。このボーダレス・グローバル市場で競争し続けるために、国際化は日本の教育システムにとって必要不可欠な要素です。しかし、20年まで留学生30万人を受け入れる目標を掲げている日本は、目標を達成するための準備ができているのでしょうか?

■日本への留学者の現状

13年の文部科学省統計では、日本には782の大学があり、私立大学は約77%を占めています。日本学生支援機構(JASSO)の年次調査結果によると、15年5月1日時点で、日本の大学で学ぶ留学生は15万2062人いました。

14年の統計と比較して9・3%の増加です。15万2062人の留学生のうち、中国からが49・3%、ベトナムから13・2%、韓国から8・8%、ネパールから5・7%、台湾から3・7%、インドネシアから2%、タイから2%、マレーシアから1・6%、米国から1・5%、ミャンマーから1・1%、その他11・1%となっています。統計上、日本への留学生の大半はアジア地域内からでした。

■日本の大学教育産業の現状と問題点

日本の人口は減少しています。18歳以下の人口も減少し、大学の過剰供給へとつながっていきます。入試の水準を低く設定することは、学校全体の教育水準に大きな影響を及ぼすため、賢明な解決策ではありません。この悪循環を克服するために、国際競争力の向上と多くの留学生を誘致することが最も重要です。

国際的な統計を見ると、一般的に英語圏の国は留学生の誘致に成功している国です。これは国際的に共通言語として英語が使用されているからです。英語言語教育のカリキュラムが乏しい日本は、欧州や米国からの留学生に敬遠されやすいのです。

留学生のマーケット・シェアを上げるためには、日本の大学はアジアからの学生誘致だけではなく、非アジア地域からの学生も誘致しなければなりません。この目標を達成するために、英語で教育するコースを充実させ、国際的なカリキュラムを提供する必要があります。

また、いくつかの大学が同様のコースを提供することに加えて、同じ大学内の学部間で競争する傾向もあります。ターゲット顧客を、同じ敷地内で奪い合うことは賢明なことではありません。日本は世界の教育ハブとしての地位を確立、強化するために、日本の大学教育市場へ多くの留学生を迎え入れる必要があります。

=埼玉新聞経済面 県内大学発「経世済民」=