2017年7月17日(月)

<埼玉大会>兄の名は「青」、弟は「空」 北本の双子球児の特別な夢

兄の田辺青投手(左)の後ろを守る弟の田辺空二塁手=16日、上尾市民球場

 (16日・第99回全国高校野球選手権埼玉大会)

 北本のスコアボードには仲良く「青空」が並んでいる。青(じょう)と空(そら)は二卵性双生児。投手と二塁手としてチームを支えてきた。16日、上尾市民球場で行われた3回戦で飯能にコールド勝ち。2人の夢へまた一歩近づいた。「一番最高なのは甲子園のスコアボードに『青空』を並べること」と空。青はにっこりと笑ってうなずいた。

 1999年8月1日生まれ。よく晴れた日曜日だった。母典子さん(46)のおなかの中で、上にいた胎児の状態が危険だったため、急きょ帝王切開で出産。生まれる順番が本来とは逆になった。兄1800グラム、弟2460グラム。それぞれ青、空と名付けられた。

 野球を始めたのは小学校4年生。北本の背番号12を付けるいとこの田辺開が先に野球をやっていたからだ。父の治さん(47)は旧吉見高校(現滑川総合高校)野球部出身。治さんの兄弟やその子どもたちも全員野球をしており、2人にとっても必然だった。

 双子だが性格は全く違う。口数が少なくひょうひょうとした青。何でも話す真面目な空。その一方、空は周りが見えなくなるほど頑固な一面があり、青は心の強さを秘めていた。小学生から毎日2人でキャッチボール。競い合って力を伸ばしてきた。チームはいつも一緒。別の道を歩もうと思ったことはない。北本への進学にも迷いはなかった。

 転機は2年生の秋。斎藤秀夫監督の勧めで、青が外野手から投手に転向した。「打撃も駄目で、このままでは一生試合に出られないと思っていた」と青。内野手で試合に出ていた空と、投手と野手として支え合う関係ができた。

 2回戦の岩槻戦は、青が乱調で早々と降板。スコアボードの「青空」は長く続かなかった。自分も投手だった父の治さんは試合後、青に「1回戦と投げ方が違う」と指摘。空は多くを語らず「次は頑張れよ」と優しく送り出した。迎えた3回戦。「自分なりに打たせてアウトが取れた」と青は7回を2失点に抑えた。

 4回戦の相手はBシード市川越。18日は県営大宮球場のスコアボードに「青空」が並ぶ。「打線がいい。どれだけ抑えられるか」と青。「青はやるときはやるタイプ」と空。晴れ渡った青空の向こうにはきっと甲子園が待っている。

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