叫んだ女性「助けて」…雨の朝、マフラーを巻いて倒れていた 女子高生が遠くから偶然発見、母や教諭も駆け付けて保護 すでに低体温症、一命を取り留めた女性「なぜ、ここにいるか分からない」
登校途中の女子高校生2人と保護者、高校教諭らが降雨の中、河川敷で倒れていた高齢女性を救助したとして、埼玉県警新座署は、新座市中野の西武台高校1年小林仁子さん(16)と同校3年越智ゆきのさん(17)、小林さんの母親で公務員の淑子さん(43)、同校理科担当教諭の和田亜優奈さん(30)に感謝状を贈呈した。4人は瞬時の判断で連絡を取り合い、連携して人命救助に貢献した。
同署と4人によると、10月5日午前7時55分ごろ、新座市中野の柳瀬川河川敷で、80代の女性がうつぶせに倒れているのを川に架かる橋の上を登校途中だった小林さんが発見した。自宅が近かったことから、小林さんは携帯ですぐに母親の淑子さんに連絡。淑子さんは現場へ急行した。この間に、登校途中の越智さんと和田教諭が橋を通り、小林さんから事情を聴いた和田教諭が119番。その日は雨が降っており河川敷は雑木などが生い茂っていたため、小林さんと越智さんは河川敷を見通せる橋の上に残り、河川敷に下りた淑子さんと和田教諭が生徒2人の指示を受けながら、橋の下の現場にたどり着いた。
女性は長袖に長ズボン、首にはマフラーを巻いて倒れていた。淑子さんがうつぶせの女性の背中をたたくと、女性は顔を上げて「助けて」と叫んだという。和田教諭と淑子さんは女性を河川敷の安全な場所まで搬送し、駆け付けた救急隊に引き渡した。女性は低体温症だったが、けがもなく命に別条はなかった。
倒れていた女性は「なぜ、河川敷にいるのか分からない」と話していたという。
感謝状を贈呈された小林さんは「自分が発見しなかったら、誰も気付かなかったかもしれない。女性が助かって良かった」。淑子さんは「当日は雨が降っていたので気温が下がる前に見つかり、本当に良かった」と胸をなで下ろした。
和田教諭は「人が倒れていることには気付かなかったが、事情を聴いて生徒たちを助けたい一心だった。これがきっかけで人命が救われたことは良かった。今後も人が困っていたら、勇気を出して対応していきたい」と話していた。