帰省、レジャー…3年ぶり夏のにぎわい 一方で催事断念の施設や感染者高止まりも 「コロナ前」未だ遠く
3年ぶりに新型コロナウイルス感染対策の行動制限から解放された今年の夏休み。我慢していた帰省を果たした人は「念願がかなった」と笑顔を見せた。一方、県内の新規感染者数は増加を続け、過去最多を更新。お盆明けから高止まりの状況が続いている。商業施設や遊興施設は久しぶりに忙しい夏となったが、入場制限や一部催事の断念などを余儀なくされ、コロナ前の活気は戻っていない。
「3年ぶりに帰省することができました」。所沢市に住む40代女性は感慨深げに話す。夫と小学1年生、10カ月になる息子の家族4人で7月末から8月初旬までの約2週間、故郷の長崎に帰った。ビデオ通話などを通じてお互いの顔は見せてきたが、母と次男は初対面。いとおしそうに孫を抱く母の目には涙が浮かび、女性は「念願がかなった」と笑顔を見せた。
県内では7月21日、新規感染者が統計以来初めて1万人を突破。8月5日には1万3991人と過去最多の感染者数を記録した。以降、一時的に減少傾向となったが、お盆明けから高止まりの状況が続いている。
女性は感染者の急増を受けて、帰省後は意識的に遠出を控えた。「長男も小学生になってから初めての夏休み。県外のテーマパークなどにも連れていってあげたかったが人混みが心配だった」。ただ、家に閉じこもって子どもにストレスがたまることを懸念し、気晴らしに大規模商業施設へ出かけたという。
受け入れる側の手応えや対応はどうだったのか。県内有数の大型商業施設、ららぽーと富士見(富士見市)の担当者は「今年の夏休み期間は、昨年と一昨年より多くの方に来場いただいた」と語る。催事も昨年より多く企画し、新型コロナ感染拡大前の運営状況に戻りつつあるものの、「第7波の影響もあり、まだ寂しさはある」。
イオンレイクタウン(越谷市)では、コロナ禍で導入した入館管理システムを活用し、リアルタイムで来場者数を測定し施設内で知らせることで来場者の過密を防止。8月は施設全体で約70件の催事を行い、子どもを含む3世代家族を中心とした客層でにぎわったという。
さいたま市が運営する屋外プール5カ所は3年ぶりに夏季営業を再開。沼影市民プール(さいたま市南区)では感染拡大前は1日3千人以上、最盛期のお盆シーズンには6千~7千人の来場者でにぎわっていたが、今年は感染対策として1日当たり860人に入場者数を制限した。
東武動物公園(宮代町)も併設プールの入場者数を1日4千人に制限したほか、新型コロナ感染拡大前に実施していた花火やビール祭りなどの催事は今年も断念した。動物園と遊園地を含む来場者数は1~26日で1日当たり最大約9千人。昨年同期に比べて1・3%増加したが、コロナ前の活気は取り戻せていない。担当者は「苦しい状況が続いているが、足を運んでくださる方を全力で楽しませることを日々考えています」と話した。