JR大宮駅の東口再開発「早く進めて」…駅前2棟全焼の火災あり、年末へ注意喚起 古い建物密集で「怖い」
さいたま市大宮区の大宮駅東口駅前で11月27日早朝に起きた火災。再開発が検討されている駅東口は、古い建物の密集した地域が依然として残っており、全焼したのはいずれも木造建物だった。地元住民らはけが人が出なかったことに安堵(あんど)しながら、「密集地域での延焼が怖い。年末に向けて乾燥する時期なので、注意喚起していきたい」としている。
■木造建物が全焼
火災現場は、「こりすのトトちゃん」の銅像が立つ大宮駅東口の真ん前。地元住民によると、以前は食堂やパン店の販売所、書店、レコード店が立ち並んでいた。いずれも店を畳むなどして、ファストフード店や金券ショップ、ドラッグストアが営業していた。大宮消防署によると、木造建物2棟を全焼し、隣接するビルなど2棟が一部焼けた。ビルは新しく建て替えられていたことから、部分焼で済んだとみられている。
通行人の男性が11月27日午前6時半ごろ、「ビルの間の室外機に積まれている段ボールから炎が上がっている」と119番した。近くの商店の女性は「外に物を置かないように注意している。東口は古い建物が多くて密集しているので延焼が怖い」と話す。
■駅前広場の計画地
再開発が検討されている大宮駅東口。調整が難航したため、再開発事業は2004年に一度廃止された。市は新たな再開発計画として、駅前広場や交通基盤整備、街区のまちづくり、駅の乗り換え改善などを含めた「大宮駅グランドセントラルステーション(GCS)化構想」を進めている。火災現場や東口ロータリーの一帯は、駅前広場として整備される計画で、災害時の帰宅困難者の一時退避所と位置付けられている。駅前広場の都市計画について、来年度には手続き開始を目標に、検討が進められている。
商店主の男性は「新しい建物は防火対策をされているが、残った古い木造建物はリスクが高い。ヒューマンエラーはあるので、燃えにくい建物にしないといけない。GCSは新型コロナウイルスの影響もあって遅れているようだが、早く進めて安心安全なまちになってほしい」と話す。
市の担当者は、今回の火災によるGCSへの影響について、「どのような影響が出るか精査中、現時点では判断できない。東口は他にも古い建物が多くあり、市としても課題として認識している。GCS構想の中で、安心安全なまちをつくるため、検討を進めている」と説明した。
大宮東口商店街連絡協議会の栗原俊明会長は「建て替えや密集の解消は私たちができることではない」と指摘した上で、「例年この時期は空気が乾燥し、火災を心配している。商店街にとって、今回は身近に感じた火災だった。防火対策の注意喚起をより徹底したい」と話していた。