教科書で見たあの事件…31年ぶりにオペラ「秩父晩鐘」 秩父事件100周年を記念し企画 17、18日
秩父事件を題材にした県民オペラ「秩父晩鐘(ばんしょう)」(オペラ彩主催)が17、18の2日間、和光市広沢の市民文化センター大ホールで上演される。同作品は、埼玉オペラ協会が同事件100周年を記念して1988年に企画、初演。今回、オペラ彩が31年ぶりに復活させる。
秩父事件は1884年に秩父地方で起きた秩父困民党の農民蜂起。時代を動かす若者たちの青春群像が描かれる。秩父市出身で県立秩父高校卒業生の声楽家福井克明さん(59)、小宮順子さん(64)、諸静子さん(57)、羽山晃生さん(55)の4人も出演。福井さんは「事件当時の若者たちの心情を、オペラを通して多くの人に伝えたい」と意気込む。
和光市を拠点にオペラ活動を行うNPO法人オペラ彩(和田タカ子理事長)は1984年に設立。毎年12月に定期公演を実施し、今回で第39回を迎える。和田理事長は「2年前に眺めた秩父連山の壮大な景色に感動し、もう一度秩父晩鐘を世に出したいと考えていた」と話す。今年10月には、福井さんや演出の直井研二さんと共に、椋神社、音楽寺、金仙寺、井上伝蔵邸など「秩父困民党」ゆかりの地を巡り、舞台イメージを膨らませた。
出演者の福井さんは秩父市日野田町出身。秩父高校、東京芸術大学を卒業後、プロの声楽家として活動を続け、31年前の秩父晩鐘の舞台にも立っている。福井さんは「自分の思い出深い演目が再び披露できるのは、この上ない喜び」と心を弾ませる。
秩父晩鐘の主な見どころは、武装蜂起した農民が音楽寺境内に集結し、大宮郷(現秩父市内)への乱入を決意するシーン(第1幕第6場)。福井さんは「政治的な話は抜きにして、秩父の若い農民たちが、自分の家族や人の尊厳を守るため、力を合わせて立ち上がった事件だということを全力で表現したい」と話した。
公演は両日午後2時開演。チケットは一般が6千~1万1千円、学生は3500円、高校生までは2千円(税込み)。福井さんら秩父市出身の声楽家4人がそろって出演するのは18日。
申し込み・問い合わせはオペラ彩(電話048・201・3121)へ。