春日部市の住宅で今年1月、同居の男性＝当時（44）＝を刃物で刺して殺害したとして、殺人などの罪に問われた、同市西金野井4丁目、被告の男（38）の裁判員裁判の論告求刑公判が6日、さいたま地裁（入江猛裁判長）で開かれ、検察側は懲役18年を求刑した。判決は12日。

　論告で検察側は、男性の傷の形状や現場の状況から、「横たわっていた被害者を刺したことは明らかで強固な殺意に基づく犯行」と指摘。日常的に男性から叱責（しっせき）されていたことなどの事情は考慮する一方で、「周囲に相談して関係解消もできたのに漫然と同居を続けた」と述べた。

　弁護側は、日頃から男性に嫌みを言われたり、月10万円の給料がまともに支払われなくても我慢してきた被告が、男性の携帯電話に自身をバカにするような内容のメッセージを発見して、「『男性を殺して自分も死のう』と思った」と指摘。「逆襲を恐れて包丁ごとぶつかったら首に刺さってしまった」と主張した。

　最終意見陳述で被告は「あの時、あそこで刃物を持たなければと毎日繰り返し思う。体が動く限り、一生償わせてほしい。本当に申し訳ない」と涙ながらに話し、傍聴席の関係者に頭を下げた。