埼玉新聞

 

<川口いじめ>異常、悪質…元生徒側、市を批判「過度の虚偽ある」 虚偽書類と認識して証拠提出した/地裁

  • さいたま地方裁判所=さいたま市浦和区高砂

 学校や市教委の対応が不適切だったとして川口市立中学校の元男子生徒(17)が川口市に550万円の損害賠償を求めている裁判の第7回口頭弁論が25日、さいたま地裁(岡部純子裁判長)で開かれた。

 元生徒側はこれまでの市側の主張について、「いじめ防止対策推進法や市が自ら制定したいじめ防止ガイドラインを否定する主張は異常」「過度の虚偽があり懲戒理由になり得る」などと批判した。

 裁判で元生徒側は、市側が裁判所に提出した武南署のいじめ捜査に関連する書類について、内容が事実と異なることを県警が認めていると指摘。

 「(校長らはカンファレンスに出席しており)市側関係者は内容が虚偽であることを認識しつつ書類を証拠提出したのであり、虚偽公文書行使罪に該当し得る極めて悪質」と批判した。

 元少年側の石川賢治弁護士は口頭弁論終了後に会見し、市側が前回の弁論で示した「いじめ防止対策推進法は法律として整合性を欠き、欠陥がある」との主張について、国会で問題になりながらも撤回しないとしていることを「異常な姿勢だ」と批判した。

■情報開示訴訟は県の文書を提出 元生徒側

 川口いじめ事件で、元男子生徒(17)が、いじめに関する情報開示請求を巡り、市の対応が違法だったとして市に100万円の損害賠償を求めている裁判の第5回口頭弁論が25日、さいたま地裁(谷口豊裁判長)で開かれた。

 元生徒側は3年生だった2018年1月5日、自分のいじめに関する情報開示を市に請求。同26日に一部が開示されたが、第三者調査委が開催中であることを理由に、大部分が非開示とされた。第三者委は同年3月に終了し調査結果が公表されたが、非開示部分は放置され、開示は1年半後の今年9月だった。

 18年1月に一部開示された「いじめ事案発生報告書」は内容がいじめ被害の実態調査ではなく、元生徒の母親に関する内容で、元生徒は虚偽の事実ばかりだとして2月に訂正を請求。市は3月に「訂正する」、9月に「訂正しない」、今年5月に「訂正する」と回答が変遷した。

市教委は元生徒側が求める訂正内容を元の文書に添付した形で訂正したと主張している。県教委は今年8月、「検証した結果、事実と異なる箇所が多々ある」と、市教委に訂正するよう指導し、元生徒側は25日の口頭弁論で県教委の文書を証拠として提出した。

ツイート シェア シェア