<新型コロナ>テークアウト料理、タクシーで配達 宅配弁当に需要高まり、飲食店とタクシー会社が連携
新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛が続く中、県内でも飲食店とタクシー会社が連携してテークアウトの料理を運ぶ新たな宅配サービスの取り組みが始まっている。国土交通省が、許可を取ればタクシーが有料で貨物配送できる特例措置を講じ、それを活用した。飲食店とタクシー会社が共に売り上げ増加を目指しつつ「巣ごもり消費」を取り込み、感染拡大の防止にもつなげる。
本庄市のタクシー会社、明日香交通(笠本浩一社長)は特例措置の認可を受け、4月28日から宅配サービスを始めた。仕組みは利用客が飲食店に電話で注文し、店から連絡を受けた同社が注文品を受け取り届ける形式。宅配先と飲食店が5キロ程度であることが条件となる。配送料は1件当たり500円で店が支払う。
宅配対応するのは、本庄商工会議所のテークアウト応援活動「がんばろう本庄 飲食店のおいしさそのままお届け」で紹介の飲食と系列店2店。サービス開始以降、約20件の利用があったという。
同社の笠本俊和専務は「新事業を始めたばかりで飲食店への周知が進んでいない。商議所と連携して店舗開拓に努めたい」と話す。宅配を依頼する飲食業「やす屋」の石井保志支配人は「コロナの影響で店員の人数を抑えてきたが、巣ごもり消費の一環で宅配弁当の需要が高まっており、タクシーの活用は助かっている」と述べた。
本庄商議所の蓮沼康永ICT推進係長は近隣の群馬県高崎市などで同様の取り組みが浸透し始めている点などを紹介。その上で「タクシー配達を利用する飲食店を増やすのと並行して取り組みも周知し、市民の協力を得られる土壌をつくりたい」と話す。
国交省は、新型コロナ感染拡大で家庭での飲食料品の宅配需要の高まりを受け、タクシー事業者が許可を受けた上で、飲食店の料理などを有償で貨物運送することを特例的に認めている。当初は緊急事態宣言期間に調整期間を加えた13日までだったが、緊急事態宣言を5月末まで延長したこともあり、特例を9月末まで延期している。
1日時点で全国で約900のタクシー会社が許可を受けている。埼玉運輸支局によると、県内では15日時点で8社が許可を得ている。