<埼玉県公立高入試の速報解説>読解力や表現力を問う問題が増加 予想される平均点の動向は?-梅野弘之氏
問題数、出題形式、出題内容などは、おおむね例年通りと言えるが、少し注意して見て行くと、広い意味での読解力や表現力を問う問題が増えていることが分かる。大学入試改革や新学習指導要領の実施を目前に控え、これからの時代に求められる新たな学力を問うて行こうという出題者側の意図が見えてくる入試だったと言えるだろう。
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国語の大問2(問4)はこれまでにない形式の問題だった。(漢字・語句・文法)が中心の大問2に読解問題が1問加わった形なので、戸惑った受験生も多かっただろう。難問ではないが、問題文の読み取りにある程度時間がかかり、全体の時間配分に影響してしまったかもしれない。その他の問題は、内容・形式・難易度など例年通り。
数学は、学力検査問題、学校選択問題ともに、問題数に変化はない。難易度が急に上がったとは言えないが、問題文を読んだり、問われている内容を理解するのに時間がかかったりする問題が増えている。一言でいえば、手数のかかる問題が増えているということで、そのために時間が足りなくなった受験生も多かったのではないか。平均点は昨年並みか、やや低下と予想される。
英語は、問題数、出題形式など昨年と比べ大きな変化はない。学校選択問題のテーマとして、最近よく話題になる「情報リテラシー」が取り上げられていた。英語の表現力だけでなく社会的関心の高さも問われていると言えるだろう。基礎的な語句や文法を問う問題も多く、平均点を大きく下げる要素は少ない。
理科は、小問数は昨年と同じ。各分野の出題単元は想定範囲内という受験生が多いと思われる。論述問題数は昨年より増えている。また、計算で答を求める問題や、計算結果だけでなく「計算の過程や考え方」を書かせる問題が出るのは例年のことだが、今年はこれが2問あり、これらが平均点を下げる要因となりそうだ。
社会は、小問数32問、論述問題数7問など例年並みの構成だった。歴史分野で3人の人物名(一遍・徳川家光・陸奥宗光)が問われたが、家光以外の2人はやや難しかったかもしれない。論述問題の中には、過去に出題例のあるものも多く、過去問をしっかりやっていた受験生は、取り組み易かっただろう。
■梅野弘之氏
教育ジャーナリスト、元埼玉県公立高校教諭。メディアバンクス代表取締役。埼玉新聞受験特集に執筆するほか入試関連イベント、進学情報誌の編集発行に携わる。入試関連イベントでは、さいたまスーパーアリーナで毎年夏に開催される「彩の国進学フェア」の企画のほか、テレ玉の入試特番「公立高校入試の傾向と対策」などに出演。1951年、浦和(さいたま)市生まれ。
=埼玉新聞WEB版=
※3月1日付埼玉新聞では2019年度県公立高校入試問題と解答を収録するほか、県内学習塾の実力派講師による入試問題の分析を掲載します。