埼玉新聞

 

「震災ジャンプ」本屋閉店、仙台 100人が回し読み、別れ惜しむ

  •  「塩川書店五橋店」の最終日の営業を終え、常連客らにあいさつする店主の塩川祐一さん(右)=31日夜、仙台市

     「塩川書店五橋店」の最終日の営業を終え、常連客らにあいさつする店主の塩川祐一さん(右)=31日夜、仙台市

  •  「塩川書店五橋店」の最終日の営業を終え、常連客らにあいさつする店主の塩川祐一さん(右)=31日夜、仙台市

 2011年3月の東日本大震災直後に物流が滞った時期、1冊の「週刊少年ジャンプ」最新号を100人以上の子どもらが回し読みしたことで知られる仙台市の「塩川書店五橋店」が31日、経営難のため閉店した。創業は1962年。最後はゆかりある人たちが集まって別れを惜しんだ。

 営業を終えた午後8時ごろ、2代目店主の塩川祐一さん(61)が店の前に立ち、常連客らに「父親の代から62年間、今日閉店を迎えます。本当にありがとうございました」とあいさつ。近所に住む会社員柏谷由依さん(28)は「幼い頃から来て青春の一部だった。寂しい」と話した。

 震災後、塩川さんは知人が山形県で買って読み終えたジャンプを譲り受けた。「少年ジャンプ読めます!!」と張り紙を出すと、子どもが次々と来て人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」などを回し読み。お礼にと小銭を寄付していった。

 逸話は中学道徳の教科書にも採用された。「伝説のジャンプ」は現在、出版した集英社で保管されている。

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