埼玉新聞

 

週刊文春スクープの裏側、「強いネタ」が集まる仕組み “文春砲”の標的となった人物から「やってくれ」

  • 「週刊文春」のスクープについて話す「文藝春秋」編集長の新谷学氏=17日、さいたま市大宮区

 埼玉政経懇話会の11月例会が17日、大宮清水園で行われ、「週刊文春」(文藝春秋)前編集長で現在は「文藝春秋」編集長の新谷学氏(57)が「『週刊文春』はなぜスクープを連発できるのか?」と題して講演した。

 「週刊文春」は、「文春砲」と呼ばれる政治家や芸能人のスクープが注目を浴びている。新谷氏は、スクープに大事なこととして「人間関係のスクラップ・アンド・ビルド」を挙げ、「相手の懐に飛び込んでネタをもらい、相手に不都合な情報をつかんでしまっても書くのがわれわれの仕事」と説明。記事掲載のタイミングや取材対象との関係について「忖度(そんたく)しない」ことを強調した。

 また、政治に関して同紙は「ど真ん中」で中道であるとし、「与党からも野党からも嫌われたり憎まれたりするが、腕を見込んでもらえば、いざという時にどちらからも頼りにされ、ネタが来る」と明かした。自身も取材を重ねる上で、かつて取材した政治家から「自分を取り上げたのと同じようにやってくれ」と情報を手渡された経験を語り、「われわれの仕事はこの道しかないと思った」と振り返った。

 また、スクープは1年以上取材を続けることもあり、莫大(ばくだい)なコストや手間がかかるとした上で、「国民が知りたい、知った方がいいことをリスクを取ってでも伝えることが使命だ」と意義を語った。同誌がネットで情報を集める「文春リークス」にも多くの投書があると明かし、「国民の知りたいことのために体を張るメディアだと知られることで、情報が集まってくる」と分析する。

 スクープが続く理由は「強いネタを出しているとどんどん情報が集まり、それが第2弾、3弾と続く」と説明し、「一番大切なのは雑誌の看板を磨いて傷つけないこと」と丁寧な取材を続けることの大切さを主張した。

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