川越市の川越一番街商店街には、蔵造りの建造物と共に、外観を洋風に見せた「擬洋風建築」が点在している。「川越アートカフェ　エレバート」は市指定有形文化財の2階建て洋風町家「田中家住宅」に店を構える。

　歴史的建造物の中で、吟味されたメニューが来店客を迎える。その一つが「自家製さつまいもプリン」（税込み550円）だ。

　川越は江戸時代からサツマイモの産地として知られてきた。プリンはそんな背景にちなんだ一品。ふんだんに卵を使い、ペーストにしたサツマイモを練り込んで蒸し焼きにする。

　淡い黄色のプリンの上には、角切りのサツマイモが載ってくる。スプーンを入れる。じゅわり。白い器の底に仕込まれた琥珀色のカラメルソースが姿を現す。そのままプリンと共にすくい上げ、口に含む。濃厚かつ滑らかな食感が、得がたい調和を奏でる。

　上質な酸味やまろやかな苦味を持つコーヒーが、スイーツを引き立てる。プリンは川越の「コエドブルワリー」で作るクラフトビールとも、よくなじむ。

　スタッフの野呂真里子さん（39）は「ここは唯一無二の存在。観光客にも地元の人たちにも一息つける空間でありたい」と語る。

【メモ】川越アートカフェ　エレバート　川越市仲町6の4（電話049・222・0241）。営業時間は午前11時半～午後6時（ラストオーダー午後5時半）。定休日は毎週水曜日と第3木曜日。西武鉄道本川越駅から徒歩約15分。