<新型コロナ>埼玉の実証実験は上尾で10日間 予想より多く参加した50店、賛否の声が
県は14日、上尾市の上尾駅周辺の飲食店を対象に新型コロナワクチン接種証明書などを活用した酒類提供に関する技術実証を行うための説明会を実施した。会場には飲食店関係者56人が足を運び、県の説明に耳を傾けた。
実証実験は22~31日までの10日間。対象区域から募った50店舗で、これまで感染防止対策として講じられてきた店舗営業の各制限を緩和する。営業時間の制限はなく、酒類提供時間は原則午後5時~店舗の営業終了まで。グループの人数制限も設けない。
利用客が店を利用するには、ワクチン接種証明書やPCR検査の通知書(3日前以内)、抗原検査の通知書(1日前以内)の提示が必要になる。上尾駅の自由通路に接種証明書などを事前確認し、紙やデジタルでの確認証を交付するブースが設けられる。
店舗側には、接種証明書などの提示の有無によって利用客のエリアを分けた店舗運営や、客へのアンケート実施が求められ、1日当たり2万5千円の協力費が支給される。
県によると、これまで国内ではワクチン接種証明や検査パッケージによる実証実験を行った例はほとんどなく、県はデータを集め、感染再拡大防止と経済活動のバランスを取りたい考え。説明した県産業労働部の高橋利維経済対策幹は「予想よりも多くの方に参加いただき関心の高さを実感した。今後の経済対策に影響を与える大切な取り組み」と話した。
参加した店舗関係者からは賛否さまざまな声が聞かれた。居酒屋の店長を務める20代女性は「感染拡大防止と店舗営業の両立ができるというデータが取れれば」と参加の意向を示した。和食居酒屋を経営する40代男性は「9月末まで緊急事態宣言で店を閉めていた。少し急ではないか」と顔をしかめた。焼き鳥居酒屋店従業員の40代女性は参加することで利用客へ安心感を提供できる一方、「接種証明書などの確認やエリア分けなど店舗側の仕事がかさむ」と懸念点を挙げ、参加するか悩んだ。