埼玉新聞

 

大河・青天を衝け、井上馨は「渋沢に無理難題吹っ掛ける役」 演じる福士誠治さん、芝居が心地よいと笑顔

  • 大河ドラマ「青天を衝け」で井上馨役を演じる福士誠治さん(NHK提供)

 深谷市出身の実業家・渋沢栄一が主人公の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」で、井上馨役を演じる福士誠治さん(38)。オンライン取材会で「洋装で現代人っぽいたたずまいだが、武士道を常に持っていた人物。渋沢と共に、世の中を変える気持ちは大きなものを持っている」と井上の魅力を語った。

 井上は、長州藩の尊王攘夷(じょうい)派の一人。伊藤俊輔(博文)らとロンドンに渡り、開国派に転じた。下関戦争で長州が敗戦すると、伊藤と共に英国公使との調停に当たる。維新後は大蔵省に入り、その右腕として実力を発揮したのが渋沢栄一。気性の荒い井上と馬が合った栄一とのコンビは「雷おやじと避雷針」と呼ばれるほどだったという。

 大河ドラマ初出演となった福士さんは「出演できるという喜びが一番にあった」と振り返る。「明治という激動の時代に出演させていただけると分かり、台本を読むたびに興奮していた気持ちがあった」

 史実では「よく怒る」と称されるほど、感情表現が豊かだった井上は、「(渋沢に対して)無理難題を吹っ掛ける役柄」と笑顔。「後半は渋沢をはじめ周囲との調和が取れ、井上自身も空気が読めるようになってくる。次の世の中をつくる人に(バトンを)渡さなくてはいけないという思いが芽生えてくる」

 栄一役の吉沢亮さんについては、「一緒に演技をしていて楽しい。あんなに気持ちが飛んでくる俳優さんは素晴らしい」と絶賛。リハーサル以上に豪快な演技を福士さんが披露すると、「本番でのお芝居が変わってきて、心地のよい時間を過ごすことができる。こちらが助かっている部分が大きい」と話した。

 「日本社会の基盤ができた明治時代。見ている人のふに落ち方が、教科書とは全く違うと思う」と作品の魅力を語る。「井上は自分本位な部分もあるが、視野が広く人間味あふれる。井上も社会に貢献したぞという部分を見てもらえたら」と語った。

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