大宮駅西口、37年連続でトップ 埼玉県内の基準地価 全用途で3年連続上昇 住宅、商業は高い伸び率 浦和駅や川口駅など徒歩圏で生活利便性高い地点を中心に
県は17日、2024年度の基準地価(7月1日現在)を発表した。県平均変動率は住宅地が前年度比プラス1・6%、商業地が同プラス2・7%でいずれも3年連続の上昇。ともに07年度以来の高い伸び率となった。工業地は同プラス2・8%と11年連続で上昇した。住宅地、商業地、工業地の全用途でプラスとなるのは3年連続。
住宅地の1平方メートル当たりの平均価格は前年度比3400円増の12万2800円。最高価格は「さいたま市浦和区岸町3丁目」の56万円。19年度から6年連続で上位3地点の順位に変動はなかった。変動率ではJR蕨駅東口から900メートルの「川口市芝樋ノ爪2丁目」がプラス8・1%で県内トップだった。
県南部のJR浦和駅や同川口駅などの徒歩圏で生活利便性の高い地点を中心に価格が上昇した。変動率では東武スカイツリーラインなどJR線以外の都心に近い鉄道駅周辺で上昇傾向が拡大している。上昇地点数は昨年度から5地点増え423地点だった。
商業地の平均価格は前年度比1万6100円増の34万1700円。トップはJR大宮駅西口ソニックシティ近くの「さいたま市大宮区桜木町2丁目」の309万円で、1988年度から37年連続1位となった。変動率では同北戸田駅西口の「戸田市大字新曽字芦原」がプラス10・4%でトップ。大宮駅周辺の繁華性の高い地点やマンション需要が高い地点を中心に上昇地点数は昨年度から12地点増え103地点だった。
工業地の平均価格は前年度比2600円増の7万2700円。最高価格は「さいたま市桜区町谷4丁目」の20万3千円。17年度から8年連続で上位3地点の順位に変動はなかった。変動率では首都高速道路美女木ジャンクション(JCT)近くの「戸田市美女木北」がプラス6・7%で1位。首都高速道路や東京外環自動車道に近い県南部の上昇が顕著だった。上昇地点数は昨年と同じ42地点だった。
県内の地価動向に詳しいみつば総合鑑定所(春日部市)の不動産鑑定士三田和巳さんによると、住宅地は都内からの波及効果が拡大しているが、少子・高齢化が進む県北西部を中心に需要は限定的。商業地ではJR大宮駅、浦和駅、川口駅など現在再開発事業が進んでいる地域やマンション用地で上昇傾向がみられ、投資対象としても東京都区部から周辺都市部にまで波及している。工業地は近年の根強いインターネット通販需要に支えられ上昇基調が継続。「都内近接の比較的規模の大きな用地で上昇率が高くなっている」とした。
先行きについて三田さんは「米国の金利上昇や原油高、ウクライナや中東情勢の余波、さらに日銀の政策金利引き上げなどの懸念材料があり、円安トレンドが必ずしも地価にプラスに働くとは限らない」と不透明さを強調。「想定外の株価変動など今後も注視が必要」との見方を示した。
「基準地価」は県が調査した土地の基準価格で、県内832地点(住宅地650、商業地136、工業地43、林地3)を不動産鑑定士が評価した。