埼玉新聞

 

長寿祝い肖像画 35年間70点描く 埼玉・吉川市在住の画家・篠田さん 今年で最後、来月作品展

  • 肖像画を囲む(右前から時計回りに)画家の篠田草風さん、宮崎初枝さん、夫の宮崎勇樹さん、中原市長

    肖像画を囲む(右前から時計回りに)画家の篠田草風さん、宮崎初枝さん、夫の宮崎勇樹さん、中原市長

  • 肖像画を囲む(右前から時計回りに)画家の篠田草風さん、宮崎初枝さん、夫の宮崎勇樹さん、中原市長

 敬老の日にちなみ吉川市は16日、市内在住の高齢者2人に肖像画を提供した。35年に渡り70点を贈呈してきた事業は今年が最後の贈呈となる。作品を描いてきた市内在住の画家篠田草風さん(84)は「筆を持つにも健康が第一」と話す。10月29日から11月2日まで、市役所コミュニティルームで、これまでに描いた肖像画を展示する作品展を開く。

 長寿を祝い、敬老の日に肖像画を贈呈する事業。肖像画を描く篠田さんは、全日本肖像美術協会副会長、審査員を務めるなど肖像画分野の第一人者として知られる。

 市内に移住してきた際「元気な高齢者に肖像画をプレゼントしよう」と発案したことがきっかけ。市は1989年から、市内に住む高齢者2人に毎年作品を贈呈してきた。篠田さんはボランティアで肖像画を描き35年、計70人に作品を提供してきた。

 背景を何度も塗り直すなど、繊細な作品。作品1点を描くのに約3週間かかるという。篠田さん自身も84歳。「何とか健康を維持することができた。肖像画を描くにしても健康が第一」と活動を振り返った。

 今年敬老の日に肖像画を贈呈した市民は、同市平沼の小林次男さん(93)と同鍋小路の宮崎初枝さん(82)。16日午前、篠田さんと中原恵人市長が自宅を訪問し2人に肖像画を手渡した。

 最後の贈呈となった宮崎さん方では、夫の勇樹さん(88)ら家族を交え、肖像画を囲んだ。篠田さんは「思いやり、感謝の心があるからこそ出る笑顔」と初枝さんの表情に触れた。

 初枝さんは肖像画を受け取り「いい記念になる。こんなに良く描いていただいて本当に感激」と感謝の言葉を述べた。

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