埼玉新聞

 

再審無罪「神々しく聞こえた」 信じ続けた姉、涙止まらず

  •  袴田巌さんに無罪を言い渡した静岡地裁の再審判決公判を終え、花束を手に笑顔の姉ひで子さん=26日午後、静岡市

     袴田巌さんに無罪を言い渡した静岡地裁の再審判決公判を終え、花束を手に笑顔の姉ひで子さん=26日午後、静岡市

  •  袴田巌さんに無罪を言い渡した静岡地裁の再審判決公判を終え、花束を手に笑顔の姉ひで子さん=26日午後、静岡市

 「裁判長が無罪と言うのが神々しく聞こえた。涙が止まらなかった」。静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)が26日、再審無罪を勝ち取った。長かった闘いに、待ち望んだ答えがやっと示された。弟の無実を信じて支え続けた姉ひで子さん(91)は安堵の表情を浮かべた。出廷を免除された袴田さんは法廷から離れた自宅近くで穏やかに過ごし、夜に帰宅した姉から報告を受けると、表情を変えないまま「ああ、そう」とだけ返事した。

 2時間に及ぶ判決公判を終え、地裁前で支援者から花束を受け取ったひで子さんはほほ笑みながら、感謝の言葉を繰り返した。長期間の拘束で拘禁症状が残り、他者との意思疎通が難しい袴田さんへの報告については「巌の目を見て、言わなきゃいけない」と難しい胸中を明かしてもいた。

 袴田さんは26日も自宅がある浜松市で過ごした。無罪判決後の午後2時過ぎ、袴田さんは日課の散歩へ。途中で立ち寄った商業施設では通行人から「本当によかったね」と声をかけられるも、聞こえていない様子。普段と変わらない時間を過ごした。

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