１９６６年の静岡県一家４人殺害事件で死刑確定後、静岡地裁の再審公判で無罪が言い渡された袴田巌さん（８８）の弁護団は１日、静岡地検に速やかに控訴権を放棄するよう求める申し入れ書を提出した。控訴期限は１０日。静岡市で記者会見した主任弁護人の小川秀世氏は「無罪を確定させることが、（拘禁症状が残る）袴田さんにとって大事なことだ」と語った。

　死刑事件の再審無罪判決は戦後５例目。申し入れ書では、これまでの４例は検察が控訴せずに無罪が確定していると指摘。袴田さんの再審請求審や再審公判で検察の主張、立証は尽くされており、控訴審で新たに事実の取り調べを行うやむを得ない事由はないとした。