埼玉新聞

 

埼玉にあった“日本一安全な街”13年かけ裏付け 台風の被害が軽微、火山の影響も少なく津波の心配なし 電力の幹線網が2系統あり、非常時に電気確保が容易 さらに地震に強い理由は

  • 三波川帯の結晶片岩で構成されている、長瀞の観光名所「岩畳」(長瀞町商工会提供)

    三波川帯の結晶片岩で構成されている、長瀞の観光名所「岩畳」(長瀞町商工会提供)

  • 三波川帯の結晶片岩で構成されている、長瀞の観光名所「岩畳」(長瀞町商工会提供)

 長瀞町商工会(同町本野上)が9月24日、秩父記者クラブで会見を開き、長瀞町が「日本一安全な町」だとする宣言を行った。今後、自然災害などの被害が起こりにくい地域であることをPRし、企業や組織の誘致、移住・誘客の促進事業を町ぐるみで展開していく予定。同会の福島博会長(71)は「町の価値を高め、魅力ある町として存続し続けるため、まずは宣言することで、その一歩を踏み出したい」と思いを語った。

 日本一安全な町の根拠は、(1)内陸で津波の心配がない(2)埼玉県は火山がなく、さらに近隣火山の影響を受けにくい(3)盆地地形のため台風などの被害が軽微(4)長瀞町には活断層がない(5)長瀞は通常地下20~30キロほどにあるべき地層が地表にあり、安定した地盤である―の主に5点。

 同会メンバーは、13年におよぶ地質研究を進めた後、大学、研究機関、学会組織関係者から意見を集めた。「岩畳として特徴を示す三波川帯の地質が町内各所の地表付近に現れていて、近隣地域より震度値が低い」「町と海岸の最短直線距離は82キロ、町役場の標高は139メートルあるため、津波の心配がない」「太陽光発電と合わせ東京電力の幹線網が2系統町内にあり、非常時の電気確保が容易」などの具体的な裏付けが得られたという。

 近年、国内各地で大規模な地震や水害が多発し、災害時における支援体制の充実が喫緊の課題となっている中、国の重要な機能や情報・資源が首都や大都市へ集中している危険性を、福島会長は指摘する。「今後、長瀞の安全性を広く周知させ、大災害の備えの大切さを前面に押し出した地域づくりに取り組んでいく」と話した。
 

ツイート シェア シェア