明日海りお「ノリノリになれるミュージカル」平野綾、和希そら共演 「9 to 5」インタビュー※動画連動
明日海りお、平野綾、和希そらが出演するミュージカル「9 to 5」が10~11月に東京など4都市で上演される。大企業で働く3人の女性が、力を合わせてハラスメントに立ち向かう痛快コメディーだ。仕事と家庭の両立に奮闘するシングルマザーのヴァイオレットを演じるのは、元宝塚歌劇団花組トップスターの明日海りお。グラマラスな外見に悩む秘書ドラリーは、歌手、声優としても活動する平野綾が演じる。新入社員のジュディ役には、2月に宝塚歌劇団を退団し、新たなスタートを切った和希そらが起用された。
「たくさん笑って、明日を頑張るパワーがもらえる作品」と口をそろえる3人に、自身が演じる役への思いや、お互いの印象を聞いた。
(1)見応えあるミュージカル
記者 作品のどんなところに魅力を感じましたか。
明日海 曲の一つ一つが覚えやすくて、ノリノリになれる。ダンスもバラエティーがあって、見応えのあるミュージカルだなと思いました。3人の女性が個性豊かで、面白いです。
平野 爽快ですよね。見終わった後に「明日から頑張れる」と思えるので、皆さんにパワーを与えることができて、それで自分もパワーをもらえたら。
和希 主軸となっている女性3人の悩みが大仰ではなくて、社会で生きていく女性みんなが共感したり、当てはまったりするところがある。見てくださった方が、一歩踏み出す力みたいなものを受け取ってもらえたらいいなと思いました。
記者 明日海さんが演じるヴァイオレットは、ばりばり働くシングルマザーです。ご自身も働く女性の1人として、どう演じていきますか。
明日海 今は働きながら子育てもして、という女性が多いですが、これは1979年のお話。女性は基本、家のことをやるという時代なので、それはそれは大変だっただろうなと。変わった目で見られることもあるだろうし、泣き言も言えないだろうし、張り詰めたところで一生懸命やっていたはずなので、気安く「共感できる」とは言えない感じがしています。
記者 平野さんが演じるドラリーはとてもセクシーな役です。
平野 台本のト書きに「超絶セクシーに去る」って書いてあって、とんでもないハードルの高さ(笑)。これまでもセクシーな役を演じることはあったんですけど、今回大きく違うのは、セクシーさを武器にしないんですよ。そんなつもりはないのに外見で誤解されてしまう役なので、新たな引き出しをつくらなきゃって思ってます。
記者 和希さんは新入社員のジュディを演じます。ご自身も今年、大きく環境が変わったということで、フレッシュな気持ちで取り組まれているのでは。
和希 新入社員だけど新卒ではなくて、一度結婚してから離婚して、30代くらいで初めて社会に出る人。夫としか接していなかったところから、社会に出て人と接して仕事をして、どんどん成長していく役なので、そんなにフレッシュ感は意識してないです。
(2)和希そら、意外と…
記者 作中ではこの3人がチームを組み、横暴な社長に立ち向かいます。現在の皆さんのチームワークはいかがですか?
平野 初めましてだったので、最初は緊張して、全然お話できなくて。稽古場で仲良くできるように頑張らなきゃなって思いました。
明日海 私のほうが…だって平野綾さんですよ? ずっと見てきたから「あの平野綾さんが私に敬語で話しかけてくる謎!」みたいな感覚が起きちゃって(笑)。
和希 私も最初に会った時、お二方の艶めきに「うわあ~」って思いながら、今もそのまま生きております。お二人とも女優として大好きなので、ご一緒できて本当に幸せです。
記者 お互いの演技で好きなところ、尊敬しているところを教えてください。
平野 お二人とも最初からキャラクターが出来上がってるので、自分のポジションがすごく分かりやすかったです。ヴァイオレットの「涙を見せないで」っていうせりふが好きで、めちゃくちゃ勇気をもらえる。ジュディも「泣かない!」って言いながら泣いちゃうところがキュートです。
和希 歌もお芝居の一部だと思うんですけど、お二方が見せてくださる歌の表現力がすごくて。作中でジュディが2人の姿から学んで前に進んでいくのとリンクして、私も勇気をいただきながら「もっと頑張らないと」と奮闘しています。
明日海 本読みの平野さん、さすがじゃなかった? 声優さんが本業だから、文字が「生き生き生き生き」ってしてくるんです。でも絶対かまないし、声の通り方もすごい。しおりちゃん(和希の愛称)は歌声がかっこいいです。歌い出した瞬間に世界がシュッと集中するような感覚があって、今までも「和希そらはすげえ」って知ってたんですが、改めて実感しています。ただ、意外と…おとなしい?
和希 世間に出回っているイメージよりはおとなしいと思います。(宝塚)下級生時代のやんちゃエピソードが独り歩きしていて…。
明日海 今は別に、無理はしてない?
和希 こっちのほうが素です。
明日海 もっとウェイウェイくる感じかと思ったら、意外とおしとやかでした。
(3)3人で過ごす、最強の休日プラン
記者 1日オフができて、この3人で何かして過ごすとしたら?
平野 まだ全然、プライベートの話をしてなくて…アウトドア派ですか?インドア?
明日海 どっちもあります。家のことゆっくりしたい時もあるし、いろんな用事もあるし。買い物したいし、カラオケも行きたいし…
平野 カラオケ行くんですか?
明日海 行く。1人で。
平野 1人で行くんだったら誘ってくださいよ。
和希 行きましょう!
平野 私は車で出かけることが多いんです。お二人は免許持ってます?
明日海 こないだ取ったの。だからまだ誰かに見ててもらわないと…
和希 前と後ろ、私たちで見ますよ。
平野 3人とも運転できるなら、ちょっと遠出してもいいですね。和希さんは休みの日は?
和希 私は…寝てます。おうちにいると何もできなくなっちゃう。
平野 じゃあその時間もつくって…温泉とか行きましょうか。車で温泉に行って、みんなでカラオケして、ぼーっとする!
記者 最強の休日プランが完成しました。最後に、改めて作品の見どころを。
和希 コロナ禍前に比べて、楽しく見られる舞台を求めている方が多いと思うんですが、それに答えられる、心軽く見られる作品です。それぞれのキャラが個性豊かで、誰もがどこかで何かをもらえるんじゃないかと思います。
平野 テーマがテーマなので「私もこういうことあった」って共感できるのがいいのか分からないんですが、みんな思い当たる節はあるはず。随分前のお話ですが、まだ解決していない問題があって、それを現代でどう表現すればいいか考えつつ、でもコメディーなので、面白おかしく笑い飛ばせる痛快さを持って演じたいです。
明日海 女性が一致団結するストーリーですけど、男性にも楽しんでもらいたいです。1曲1曲がボリューミーで、コンサートに来たのかなって思えるナンバーもある。この3人以外の登場人物も本当に濃くて、悪い人でも好きになっちゃうくらいなので、全部ひっくるめて楽しんでいただけたらうれしいです。
※インタビュー動画をYouTubeチャンネル「うるおうリコメンド」でご覧になれます。
【あすみ・りお】1985年生まれ、静岡市出身。元宝塚歌劇団花組トップスター。退団後の主な出演作にミュージカル「王様と私」、ドラマ「グレイトギフト」など。
【ひらの・あや】1987年生まれ、愛知県出身。歌手、声優としても活躍。舞台での主な出演作に「チェンソーマン ザ・ステージ」、「この世界の片隅に」など。
【かずき・そら】1992年生まれ、岡山県出身。宝塚歌劇団宙組、雪組で男役スターとして活躍。今年2月に退団後、今回が初のミュージカル出演。
☆ミュージカル「9 to 5」は10月6~21日東京・日本青年館ホール、25~28日大阪・オリックス劇場、11月1~3日福岡・キャナルシティ劇場、7~8日静岡市清水文化会館(マリナート)で上演予定。
(取材・文=共同通信 高田麻美、撮影=渡辺二美一)