埼玉新聞

 

「巌、静かに長生きして」 袴田さん姉、区切りに安堵

  •  記者会見を終え帰宅し、自宅でくつろぐ袴田巌さん(左)に「いま、帰った」と声をかける姉ひで子さん=8日夜、浜松市

     記者会見を終え帰宅し、自宅でくつろぐ袴田巌さん(左)に「いま、帰った」と声をかける姉ひで子さん=8日夜、浜松市

  •  記者会見を終え帰宅し、自宅でくつろぐ袴田巌さん(左)に「いま、帰った」と声をかける姉ひで子さん=8日夜、浜松市

 「巌には長生きしてほしい。ごくごく平凡に静かに暮らしたい」。検察の控訴断念の連絡を受けた袴田巌さん(88)の姉ひで子さん(91)は8日、無罪を信じ支え続けてきた弟への思いを改めて口にし、ようやくついた「一区切り」に安堵の表情を浮かべた。

 拘禁症が残る袴田さんは日課の散歩に出かけた。支援者によると、袴田さんは散歩後の夕方、近所のそば屋で支援者と夕食を囲み、ノンアルコールビールで乾杯。吉報を喜ぶ周りの楽しげな雰囲気につられ、次第に頬を緩めてにこやかに過ごした。

 8日夜の記者会見で、ひで子さんからは苦しむ弟をずっと隣で見てきた本音もこぼれた。「もう10年ぐらいは生かしてほしい」

 検察には「特別に思いはない。ほっとしていらっしゃると思う」と話すにとどめたが、「巌だけが助かれば良いとは思っていない。これからは再審法改正に大いに協力したい」と力を込めた。

 会見を終えて帰宅したひで子さん。支援者が撮影した動画によると、袴田さんはいすでくつろいでおり、「いま、帰った」と声をかけられると、ゆっくりと体を起こした。

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