埼玉新聞

 

旧知店主が袴田巌さんねぎらい 「元気なうちで良かった」

  •  袴田巌さんとの思い出を話す喫茶店「木馬」の店主坂東昭男さん=9日午前、静岡市

     袴田巌さんとの思い出を話す喫茶店「木馬」の店主坂東昭男さん=9日午前、静岡市

  •  袴田巌さんとの思い出を話す喫茶店「木馬」の店主坂東昭男さん=9日午前、静岡市

 静岡市清水区の喫茶店「木馬」の店主坂東昭男さん(86)は、近くでバーを営んでいた袴田巌さん(88)が逮捕される前に知り合い、裁判の行方を気にかけてきた。9日の再審無罪確定を受け「元気なうちで良かった」とねぎらった。

 「木馬」は1963年にオープン。高度経済成長期で景気が上向き、商店街の主人たちがよくコーヒーを飲みに来てくれた。袴田さんと世間話をすることもあり「寡黙で、ぼそぼそ話す人だった」と振り返る。

 袴田さんはバー経営をやめた後、働いていたみそ製造会社の専務一家殺害事件で、66年8月に逮捕された。坂東さんは木馬の経営のほか、タクシー運転手の仕事にも追われる日々を送り、年月が流れた。

 再審関係のニュースで袴田さんの姿を見ても「昔と全然イメージが合わない。苦しんだことで表情が変わったのだろうか」。長い間死刑におびえ、拘置所で過ごした袴田さんに思いをはせる。

 袴田さんは現在、拘禁症状が残り、意思疎通が難しい。坂東さんは「大変な人生だ。元気なうちに無罪が確定して良かった」と話した。

ツイート シェア シェア