痴漢逃走!修学旅行中の教諭、線路走って捕まえる 生徒は交番へ 観光を諦めた教諭、宿に帰ると生徒らが
修学旅行中に痴漢をした疑いがある男の逮捕に貢献があったとして奈良県警西和署は30日、埼玉県久喜市立太東中学校の教諭や生徒らに感謝状などを贈呈した。教諭が取り押さえ生徒が交番に伝えた連携プレー。学校関係者は「悪いことを見逃さないということを体現してくれた」と評価した。
感謝状を受け取ったのは同中保健体育科の篠崎結教諭(36)と3年生の生徒ら。
同校の3年は10月30日から2泊3日の修学旅行で京都や奈良を訪れていた。生徒らは10月30日、奈良市の東大寺を見学し奈良県斑鳩町の法隆寺に行く予定だったという。
引率の篠崎教諭は東大寺の見学を終え、JR奈良駅を午後2時15分に発車する大和路快速に乗車。約10分間、およそ15人の生徒と同町のJR法隆寺駅まで電車に揺られた。
法隆寺駅で下車すると、ホーム上で「痴漢」などと言いながら男(61)を追い掛けている女子中学生(奈良県在住)を目撃。「行かなきゃと思って追い掛けた」と話す篠崎教諭は、1番ホームの端から線路に降りて2番ホームの方向に向かう男を約100メートル追跡し、駅敷地内で取り押さえた。
男を取り押さえたころ、同駅まで篠崎教諭と一緒に来ていた3年の折原寿野さん(14)と中島琉偉さん(15)は、駅前の交番に「痴漢があった。先生が線路の方に追い掛けていった」などと申告。篠崎教諭が駆け付けた警察官や駅員に男を引き渡した。
同署によると、男は快速列車内で座っていた女子中学生の横に座り、太ももを触ったという。男は県迷惑防止条例違反容疑で逮捕。11月10日に奈良地裁に起訴された。
生徒らは法隆寺の見学に向かったが、篠崎教諭は警察に事情を説明するなどしたため、法隆寺には行けなかった。しかし宿に戻ると事情を知っていた生徒から「かっこよかったです」と法隆寺が描かれたタオルやクッキーをお土産でもらったという。
篠崎教諭は「素直にうれしい。目の前でトラブルが起きたとき、生徒が行動できるようになるきっかけになれば」と話す。折原さんは「解決できて良かった」。中島さんは「逮捕に貢献できてうれしい」と振り返った。
篠崎教諭は「生徒が警察を呼んだと知ってうれしかった」と笑顔を見せる。同校の木村信之校長(54)は「困っている人を助けるということを、教員も生徒も体現してくれた」と評価した。