埼玉新聞

 

学校の下敷き…7歳いとこ焼死 当時3歳だった被爆男性「生きている間に核廃絶を」 大勢が死んだあの日

  • 蕨市議会総務常任委員会で意見陳述した県原爆被害者協議会会長の原明範さん(右)と服部道子さん=1日午前

 県原爆被害者協議会(しらさぎ会、蕨市)の会長で広島で被爆した原明範さん(79)=入間市=が1日、蕨市議会12月定例会の総務常任委員会で、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書の採択に関する陳情の審議で意見陳述した。原さんは被爆者の平均年齢が84歳になったとした上で、「私たちの生きている間に核兵器の廃絶を実現させたい」と述べ、意見書の提出と採択を訴えた。

 原さんは意見陳述の中で、3歳での被爆体験を語った。7歳のいとこは学校の下敷きになって焼け死に、13歳のいとこは「水が欲しい」と言い残して亡くなったという。核兵器禁止条約は2017年7月、国連総会で採択され、今年1月に批准国が50カ国となり発効した。原さんは「念願がかない、心から歓迎している。核兵器は残忍な兵器で、唯一の戦争被爆国である日本が批准してほしい」と求めた。

 第1回の締約国会議が来年3月、オーストリアのウィーンで開かれる予定で、独が先進7カ国(G7)で初めてオブザーバー参加を表明している。原さんは委員会の質疑の中で、「日本もぜひオブザーバー参加して、核廃絶を求める国の声を聴いて、核保有国との橋渡しに努力してほしい」と述べた。

 しらさぎ会は05年2月、さいたま市浦和区から蕨市に事務所を移転した。核兵器禁止条約に関する意見書の採択を求める活動を地元の蕨市議会から開始。陳情書の提出や市議会での意見陳述は初めて。同委員会は陳情について、賛成3、反対2の賛成多数で可決して採択した。16日の本会議最終日で審議される。

 しらさぎ会理事の服部道子さん(92)=蕨市=は、委員会を傍聴した。広島で16歳の時に被爆した服部さんは「まだ本会議があるけれど、委員会の可決は良かった。多くの人があの日、死んでいった。人間が生きるためには、核兵器をなくさないといけない。再び被爆者を出さないという気持ちで核廃絶運動を続けてきた」と話していた。

 県内では、上尾市議会、春日部市議会、川口市議会など15市町議会が同様の意見書を採択している。

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