埼玉新聞

 

出会い大切に飛躍 ターゲットアーチェリー選手 上里の宮田さん 25日から全日本選手権、目標は5部門制覇

  • 宮田悦子さん(右)と、トレーナーとして支える理学療法士の矢島佑さん=川越市大中居のラクロ本社

    宮田悦子さん(右)と、トレーナーとして支える理学療法士の矢島佑さん=川越市大中居のラクロ本社

  • 宮田悦子さん(右)と、トレーナーとして支える理学療法士の矢島佑さん=川越市大中居のラクロ本社

 アーチェリー競技の一つ「ターゲットアーチェリー」の選手、宮田悦子さん(56)=上里町在住=は25~27日、東京都江東区の夢の島公園で開かれる全日本選手権に出場する。同大会の優勝経験がある宮田さんは、趣味から競技者への道を歩んだ経歴を持つ。トレーナーとの出会いや地元企業の支援を受けながら、人との「縁」を胸に刻み、飛躍を誓う。

 「矢を放つ瞬間を初めて見た時、かっこいいと見ほれたことがきっかけ」と宮田さん。夫とのツーリングが趣味だったが、安全なスポーツをしたいと思い、秩父でのアーチェリー教室を見つけた。週1回の練習は土日両日となり本格化。アーチェリーは弓の形状により種目が変わり、その中で「コンパウンド」部門の選手を目指して、44歳から挑戦を開始した。

 練習方法は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で見つけた海外選手の動きを、夫が見よう見まねで分析し解説。独学で二人三脚のトレーニングを重ねた。競技を始めて約2年後には大会出場。成績も少しずつ上向きになる一方、競技以外の課題が出てきた。

 選手として避けては通れない身体面の不調。競技を長く続けたいと考える中で、共通の知人を介して、理学療法士の矢島佑さん(35)と出会った。「矢島さんは勉強熱心な人。アーチェリーをやったことないのに、自ら動作解析をしてけがをしない動きを提案いただいている」。現在は専属トレーナーとして、競技活動を最前線で支えている。

 遠征費や用具代など金銭面は、特に大きな悩みだった。「出場したい気持ちがあっても、お金を理由に断念することも多かった」。もどかしい思いを相談すると、川越市に本社がある民間の発掘会社「ラクロ」(長嶋史弘社長)が名乗りを上げた。宮田さんの活躍を知り、社業でもうけた利益を社会に還元したいとの思いから、ユニホーム提供や資金援助などを決めた。「自分が活躍することで、会社の宣伝にもつながる。金銭面の支えは本当にありがたいし、より高みを目指すモチベーションにもなる」

 目標は全日本選手権5部門の完全制覇。「身体のアドバイスや経済的な支援を受けながら競技を続けられるのは、本当に恵まれた環境。アーチェリーは生涯スポーツなので、応援を力に一日でも長く活躍したい」。多くの支えを弓に込め、魂の一矢を放ち続ける。

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