許せない…一目置かれる走り屋の男89キロ超過で正面衝突 安全運転の男性死亡 2度免停もリミッター解除
飯能市で2018年10月、制限速度を89キロ超える約129キロで乗用車を運転して事故を起こし、3人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた会社員の男(34)の裁判員裁判の初公判がさいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれ、男は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
起訴状などによると、男は18年10月19日、午前2時10分ごろ、飯能市平戸の国道299号を約129キロで走行し、カーブを曲がり切れずに対向車と正面衝突。対向車を運転していた男性=当時(23)=を死亡させ、助手席の男性=同(23)=と自車の助手席に乗っていた男性=同(20)=に骨折などの大けがを負わせたほか、同年4月20日には同市の国道299号で、乗用車を123キロで運転したとされる。
県警は今年2月1日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで書類送検。地検が5月28日に在宅起訴していた。
冒頭陳述で検察側は、現場は高速度走行が趣味の走り屋が集まり車の性能や運転技術を競い合う山間道路で、男も頻繁に走り、タイヤなども速さに適したものに交換していたと説明。過去に速度超過で2度の免許停止になり、事故半年前にも現場道路付近で83キロの速度超過で検挙されたが「高速度運転をやめなかった」と常習性を指摘した。弁護側は事故当時、交通量が少なかったなどと主張した。
証人尋問では男の助手席に乗っていた男性が、制限速度のリミッターを解除するなど男が車の改造に力を入れ、走る速度も速かったとして「目立つような感じで一目置かれていた」と述べた。
死亡した男性と大学で同じ部活に所属し事件当日に助手席に乗っていた男性も出廷。現場付近が危険だと認識し、40キロにも満たない速度で走っていたとし「温厚で優しく誰からも好かれていた。あんないい人がなぜ、こういう形で亡くならければならないのか。理不尽だし許せない。なるべく重い処罰を望む」と訴えた。