青天を衝け・吉沢亮さん、大河史上最長の生涯演じる 制作統括の菓子浩さん称賛「想像はるかに超える演技」
深谷市出身の実業家・渋沢栄一が主人公の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」で、制作統括を務めるNHKの菓子浩さんが、26日の最終回を前にリモート取材に応じた。コロナ禍という不安定な時代に、栄一の力強さと家族との心温まる物語は、視聴者に多くの共感を生んだ。「栄一は最後の最後まで生き抜いた人物。生涯をかけて青春を走り続ける姿を見届けてほしい」と呼び掛けた。
大河ドラマ第60作の節目となった同作は、主人公の渋沢栄一が、時代の大渦に翻弄(ほんろう)され挫折を繰り返しながらも、高い志で未来を切り開いていく姿をダイナミックに描いている。
作品は11月上旬にクランクアップ。「新型コロナウイルスと隣り合わせで作ってきた『青天を衝け』。ドラマを完結できるのかという不安もあったが、無事に放送を続けてこられた」と安堵(あんど)する。
制作前の段階では、ドラマを渋沢栄一の半生で終える方法も検討されたという。「それでは本当の渋沢栄一の姿を伝えられないと思った。(主演の)吉沢亮さんが晩年まで演じられるのかという議論もあったが、ご本人から挑戦したいと言っていただいた」
吉沢さんの演技は「制作者の想像をはるかに超える演技だった」と振り返る。「年齢や立場が変わっていくが、各ステージで演じる渋沢栄一がどれも魅力的だった」。13歳から91歳までの大河史上最長とも言える生涯を通じて、栄一から放たれる熱量と心の繊細さ。「まさに吉沢亮さんあっての『青天を衝け』だった」と称賛した。
最終回まで残り3回。「大森美香さんの脚本を道しるべに、キャスト、スタッフの総力を結集して進んできた」。コロナ禍の現代だからこそ「生き抜く」というメッセージを最後まで伝え続ける。
「私たちが作っている作品なのに、その主人公の言葉や行動に勇気づけられるという経験を何度もしてきた。とても不思議な経験だった。渋沢栄一が走り続ける姿を、視聴者の皆さまも一緒になって応援してほしい」