埼玉新聞

 

<高校野球>歴史刻んだ156球 浦和実の左腕石戸 独特な投球フォームで打者を手玉に 秋季関東大会

  • つくば秀英―浦和実 被安打4の好投で完封した浦和実の左腕石戸

    つくば秀英―浦和実 被安打4の好投で完封した浦和実の左腕石戸

  • つくば秀英―浦和実 被安打4の好投で完封した浦和実の左腕石戸

 また一つ新たな歴史の扉を開いた。浦和実が秋の関東大会、3度目の挑戦で初の4強入り。1975年の創部から携わってきた辻川監督は「きょうの試合は執念。執念で守れ、執念で点取れ、執念で勝て。それしか言っていない」と喜びをかみしめた。

 勝利の立役者は、156球の力投で4安打完封劇を披露した左腕石戸だ。「無失点というのが大きい。一つのヤマ場としていたところなのでうれしい」と120キロ台の直球に、100キロ前後の3種類の変化球を巧みに操り、試合を支配した。

 三回1死三塁で左太ももに強烈な打球が直撃し、ベンチは一時騒然。次打者は四球。「かなり痛かった。気持ちで気合で投げた」と後続を右飛に打ち取ると、ポーカーフェースを貫いてきた背番号1は満面の笑みで喜びをあらわにした。

 胸に着くほど右足を高く折り曲げ、上半身にしなりを利かせてボールの出所は背中越しに感じる。持ち味であるこの独特な投球フォームで、関東の各打者を手玉に取っている。「速さじゃ勝てない。コントロールや、見えづらさ、変化球の質で勝負したい」と自らの信念を結果で示す。

 関東ベスト4入りで春夏通じて初となる甲子園出場にぐんと近づいた。それでも石戸は「まだ確定じゃない。一戦一戦勝っていきたい」。準決勝の相手は横浜。自らの投球スタイルに確信を持つにはこれ以上ない相手だ。

ツイート シェア シェア