埼玉新聞

 

青天を衝け・吉沢亮さん、エネルギーを持続させ老いていく…演出の黒崎博さんが太鼓判「演技に注目を」

  • 演出を担当した黒崎博さん(NHK提供)

  • 日米関係を改善しようと奔走する吉沢亮さん演じる渋沢栄一(NHK提供)

 大河ドラマ「青天を衝(つ)け」で主人公の渋沢栄一役を演じる吉沢亮さん、演出の黒崎博さんのリモート取材会見が開かれた。放送終了まであと2回。吉沢さんは「何歳になっても衰えない栄一のエネルギーを感じてほしい。やりたいことをやって、失敗もして年を重ねても挑戦し続ける姿が作品の肝」と語った。

 「終わりに向けて何かをまとめに入るのではなく、最後まで現役。自分自身もやりきったかなと思う」。1年以上にわたり渋沢栄一役と向き合い続けたことを、感慨深げに振り返る。黒崎さんは「吉沢亮さんが全身全霊で、91歳の最期の瞬間まで演じ切ってくれた。そのパワーは伝わると思う」と太鼓判を押した。

 「『青天を衝け』は心に残る作品」と語る吉沢さんは、「大河の主演としてうれしい思いもたくさんしたけど、苦しい、つらい思いもあった。めちゃくちゃ生きているなという時間だった」としみじみ。「このような刺激的な現場に出合えることはない。年相応のところから、懸け離れたところまで長い間を演じていたので、人としても成長できていればいいなと思う」

 91歳までの人生を演じるに当たり、「メークの力を借りつつも、栄一は最後まで元気なので、エネルギーを持続させながら老いていく。どう演じていくかは苦労した」と黒崎氏。「現場でも吉沢さんが試行錯誤してくれた。例えば、立ち上がり方でも『今の立ち上がり方は若かったかな』など、肉体を封印する吉沢さんの演技にも注目してほしい」と語った。

 19日放送の第40回「栄一、海を越えて」では、日米関係を改善しようと、栄一が妻の兼子と渡米。特別列車で全米60の都市を巡り、民間外交に奔走する姿が描かれる。

 列車の場面は、パリ編と同様にVFX(視覚効果)の撮影技法を採用。吉沢さんは「グリーンバックに囲まれた中での撮影。みんなで話し合いながら、想像で演じた」と話した。黒崎氏は「約20人のスタッフが一生懸命揺らして撮影した」と苦労を明かす。「その中で栄一と兼子の夫婦感や結束が生まれた瞬間があった。スタッフ、出演者の一体感も生まれ、良い雰囲気で撮影が進んでいた」と振り返った。

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