【東京ウオッチ】茶、華、舞…京都の奥深さを東京で学ぶ―超一流の講師陣が極意を伝授 いまのTokyoをつかむイベント情報(11月2日~10日)
◎今週の一推しイベント
「京都学 in Tokyo 2024」(25年2月15日まで5講座を開催、事前予約制、港区・明治記念館など)
1200年の歴史を誇る京都の文化を一流講師陣から学ぶ講座が、港区内で開かれる。ファシリテーター(塾長)を務めるのは、教育や料理の分野を通して京都に縁の深い放送作家の小山薫堂さんだ。
開講の意図を「京都との縁が約12年続いており、季節の捉え方や日常の過ごし方に教養の奥深さを感じている。京文化を学ぶことで、東京にいると見過ごされがちな日々の暮らしの“価値”に気づけるのではないかと思った」と話す。
受講者たちに、茶道の千玄室さん(11月9日、明治神宮)、華道の池坊専好さん(12月15日、東京芸術学舎外苑キャンパス)が極意を伝授。京舞の人間国宝・井上八千代さん(1月18日)、京料理の高橋英一さん(2月1日)、能楽の金剛永謹さん(2月15日)から貴重な講演が聞ける(いずれも明治記念館)。
「“日本の宝物”といえる最高峰の人たちから、どんな本を読んでも得られない話を直接聞けて、初心者にとっては最高の出発点となるはずだ」。講座ごとに参加者に配られる京都伝統の品々も趣向を凝らしたものとなる。
「京都で入院した時に地元の人たちが持ってきてくれたお見舞いは、一輪の花をさした花器とか、ぼくが見舞客に配れるようにと用意してくれた数十個の菓子包みなど。そんな心遣いに人生の余裕というかユーモアを感じる」と小山さん。「仕事や遊びで東京に来る他地域の人にも参加してほしい。東京で京都を知ることで“一粒で二度おいしい”体験が得られると思う」
○そのほかのお薦めイベント
【2日(土)】
▽「『Ronan Bouroullec:On Creative Session』展」(~11月24日、港区・21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3、入場無料)
フランスのデザイナー、アーティストのロナン・ブルレックさんと「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」が、2024年秋冬コレクションでコラボレーションを行った。そこで発表された服の制作過程を紹介する展覧会が、六本木で開かれている。
ブルレックさんは家具や照明、建築など、幅広い分野に携わってきた。美しいラインやフォルム、幾重にも重なった深みと奥行きで色を表現したドローイング作品は世界中で評価されている。
最新コレクションに、その色と形、流れるような筆致を取り入れた。本展は、服として完成する前のプロセスに光を当て、一着の服が持つ表現の可能性を伝えている。
転写プリント、刺しゅう、ゴブラン織り、またシルクスクリーンの技法で、プリーツや天然繊維などの“素材”に取り入れられたドローイングを展示。服の折り目のつけ方により変化するデザインも、模型にして展開している。
ブルレックさんは「イッセイ ミヤケは創作の過程で“探究”の姿勢を大切にしている。日本人スタッフと以心伝心で仕事ができた。ものづくりを追求する素晴らしい機会となった」と語った。
▽「世田谷パン祭り2024」(~3日、入場無料、世田谷公園など)
世田谷の人気パン屋を中心に、日本全国からベーカリーなどが集まるイベントが2日間、世田谷公園などで行われる。
自慢のパンをそろえたベーカリー、ジャムやバターの店、パンと相性の良いフードやドリンクを提供する店がならぶ。
参加ベーカリーによる“イベント限定パン”は見逃せない。渋谷「MONICA」の和菓子の栗まんじゅうとクリームパンを合わせた「栗~むパン」など特別なパンの数々を味わえる。各地で話題のベーカリーのパンが並ぶ「ご当地パンブース」では、島根県や山形県の人気商品との出合いも。家族や友人とパンのある暮らしを感じたい。
【9日(土)】
▽「昼食講演会『パリのエスプリ&ロンドン、ニューヨークの名門ホテルの歴史』」(12時、港区・フレンチレストラン L’ESSOR)
国際ホテルジャーナリストの小原康裕さんが、パリを中心にロンドン、ニューヨークのラグジュアリーホテルの歴史やホスピタリティーについて青山で講演する。
講演後は、会場で昼食会も。世界のトップホテルの文化を学ぶ良い機会となるだろう。
▽「レオ・レオーニと仲間たち」(~25年1月13日、板橋区立美術館)
小さな魚の物語「スイミー」などで知られ、絵画、デザイン、絵本など多彩な分野で活躍した作家、レオ・レオーニさんの軌跡をたどる展覧会が、板橋で開催される。
1939年にイタリアのファシスト政権誕生により米国に亡命。孫のために作った絵本「あおくんときいろちゃん」で絵本作家としてデビューする。その後、イタリアに戻り多くの作品を発表した。
本展は、レオーニさんの活動を20世紀の文化の流れと共に眺める。青年期に手がけたイラスト、広告デザインや、米国でのアートディレクターとしての仕事を紹介。イタリアに戻り制作した最後の絵画作品「鳥」シリーズも展示する。ねずみたちの物語「マシューのゆめ」といった絵本の原画は必見だ。
館長の松岡希代子さんは「アーティストとして、絵本を通して社会への発信を大切にしていた。さまざまな創作が絵本に集約された様子を知ってほしい」と話した。