天野篤理事が担当の新病院、建設へ一歩前進 順天堂大学、計画の変更申請を年内提出へ さいたま市長に説明
さいたま市の美園地区に計画されている順天堂大学医学部付属病院を巡り、新病院を担当する同大学特任教授の天野篤理事らが20日、さいたま市役所を訪れ、清水勇人市長と面会した。会合は非公開で行われ、天野理事は新病院建設に関する計画変更申請書を年内に県に提出することなどを説明したという。2015年に当初計画が提出されてから、延期していた病院誘致が具体化する見通し。県や市関係者は「建設に向けて一歩前進」と歓迎している。
市都市戦略本部によると、順大側から清水市長との面会の要請があり、天野理事が病院建設計画の変更申請について、年内に県へ提出すると説明した。
天野理事は「新型コロナウイルスの影響などで提出が遅れた。計画変更を粛々と県に提出する」と説明した。計画通りに進んでいないことから、清水市長は「地元の期待もあるので、病院建設を進めてほしい」と求めたという。
県は建設予定地の県有地3ヘクタールを無償貸与する方針を示している。順大側は計画提出の当初から、市有地4・7ヘクタールの無償貸与を要望した。
市の担当者は「どのような病院を建てるのか、地域にどのような貢献をしていただけるのか明確ではない。明確になった時点で、無償かどうかを検討する段階に進むのではないか」としている。
順大は今年4月、スポーツ健康医科学推進機構を設置して、スポーツと医学分野の有機的な連携を強化している。順大新病院の建設予定地の美園地区も、健康スポーツをテーマにしたまちづくりを進めていることから、同日、機構長を務める鈴木大地前スポーツ庁長官も同行し、清水市長に機構の役割などを説明したという。機構の活用について、市は順大と今後も話し合うとしている。
順大は15年1月、県内の医師不足解消などを目的とした県の公募に応じ、約800病床を備え、21年4月の開設を目指す新病院の整備計画書を提出した。
県は18年3月までの着工を公募条件としていたが、順大は交通アクセスなどの課題を理由に変更を申請した。着工までには数年かかる環境アセスメントを行う必要があり、県が求めてきた23年度末までの開設は不透明な状況となっている。
県保健医療政策課は「ずっと土地が眠っていた状態で、住民からも『どうなっているのか』と問い合わせがあった。病院建設に向けて一歩前進だ」と歓迎している。