埼玉新聞

 

<川口いじめ>つらい思いさせ心よりおわび…埼玉・川口市が元生徒へ謝罪、控訴せず 教育長「直接謝罪を」

  • 川口市役所=埼玉県川口市青木

 埼玉県の川口市立中でいじめ被害に遭った元男子生徒(19)が市に損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁が市側の違法行為や義務違反を認定し市に55万円の支払いを命じる判決を下したのを受け、奥ノ木信夫市長は24日、記者会見し「4年半もの長い間つらい思いをさせ、市民に不安や心配をかけたことを心よりおわびする。申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を述べた。また「元生徒のことを第一に考える」として、控訴はしない意向を明らかにした。

 奥ノ木市長は「いじめ問題は最重要事項として取り組んできた。裁判所から指摘された違法行為、義務違反については真摯(しんし)に受け止めている」と語り、「いじめ防止を含む市の教育環境については、さらなる向上を図るよう全力で取り組んでいく」と話した。

 同席した茂呂修平教育長は「元生徒への謝罪の場を速やかに準備したい。二度と同様のことが起きないよう努め、学校と連携を深め、子どもらが安心して通える学校づくりにまい進する」と述べた。

 元生徒が「いじめよりも、学校や市教委の謝罪しない態度の方がつらい」と話していることについて、茂呂教育長は「申し訳ない。直接会って謝罪したい」と語った。

 直接、元生徒に謝罪する意向があるかについて質問された奥ノ木市長は「この会見の場をもっておわびしている」と語った。

 原告の男性は「教育委員会や校長、警察などがうそをついたり、うその記録を作ったら、私のように、いじめに遭った生徒がもっと傷ついて苦しくなるということを分かってほしい」とコメントを出した。

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