埼玉新聞

 

順天堂大の新病院、30年3月開院へ 計画変更申請、埼玉県へ提出 計画遅れや政策への貢献に不満と期待

  • 順天堂大学医学部付属病院の整備予定地=さいたま市緑区

 さいたま市の美園地区に建設が予定されている順天堂大学医学部付属病院について県は27日、整備計画変更申請書が同日、郵送で提出されたことを明らかにした。2030年3月開院予定。大野元裕知事は詳細を見ていないとしつつ「しっかり検討し、県内の診療過疎や医療の偏在に対応するため、今後、協議する一歩」と述べた。

 関係者によると、新病院の整備計画は2026(令和8)年4月着工を想定しており、一つの工期で800床分を建設する。28年12月に完成し、29年4月に400床を整備、翌30年3月までのフルオープンを目指すとみられる。大学院を併設し、救命救急センターや周産期母子医療センター、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院などの機能を持つことが想定されている。

 病院誘致を巡っては15年1月、順大が県内の医師不足解消などを目的とした県の公募に応じ、約800床を備え、21年4月の開設を目指す新病院の整備計画書を提出。公募条件では18年3月までに着工することとなっていた。しかし順大は18年3月、交通アクセスなどの課題を理由に整備計画変更申請書を提出。スケジュールは改めて作成するとしていたが新型コロナウイルスなどの影響で、着工時期などは見通しが立たないままだった。県は開院時期および設計・建設のスケジュールを明記し、整備計画変更申請書を今年12月までに提出するよう求めていた。

 今月20日には新病院を担当する同大特任教授の天野篤理事と、同大スポーツ健康医科学推進機構長を務める鈴木大地前スポーツ庁長官がさいたま市の清水勇人市長と市役所で面会。新病院建設に関する計画変更申請書を県に提出することなどを説明していた。

 計画は今後、1月にも予定されているさいたま市地域医療構想調整会議や県医療審議会で示されると見られる。

■「当初とは話違う」開設時期に不満も

 順天堂大学病院は当初計画では、今年の開設を予定していた。大野知事は27日、計画遅延について記者団に「元々の整備計画からは遅れていることは事実」と率直に話した。

 具体的な施設や機能の配置、開設時期などは今後、決定するとしているが、当初の公募条件は2018年3月までの着工。計画に携わってきた県議は整備計画変更申請書提出について「まだ決定ではないが、当初とは話が違う」と不満を吐露した。

 知事は「期待するところは、800床をしっかり整備していただくこと。医師や医療人材の派遣を可能にしていただきたい」と県の医療政策に対する貢献への期待を表明。「具体的スケジュール、詳細についてはこれから検討させていただく」と述べた。

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