埼玉新聞

 

全国にファンも 日本初の鉄骨豚舎を竣工、多頭飼いできる施設として評判 渋沢栄一の流れをくむ商店から独立 業界のパイオニア、養豚設備機器開発・建築のセキネ「日本の養豚を守る」

  • 「AIを使った新しいシステムを作っていければ」と話す篠崎壮登社長

    「AIを使った新しいシステムを作っていければ」と話す篠崎壮登社長=深谷市田所町のセキネ

  • ふん尿を分離しつつ舎外へ自動排出する「Vピットスクレーパー」(提供写真)

    ふん尿を分離しつつ舎外へ自動排出する「Vピットスクレーパー」(提供写真)

  • 「AIを使った新しいシステムを作っていければ」と話す篠崎壮登社長
  • ふん尿を分離しつつ舎外へ自動排出する「Vピットスクレーパー」(提供写真)

 深谷市田所町の養豚設備機器開発・建築メーカーのセキネ。昨年2月に3代目として新たに篠崎壮登(まさと)社長(40)が社長に就任した。新たに遠隔で豚舎の状況を確認できるシステムを開発するなど、メーカーの機能を強化している。篠崎社長は「日本の養豚業界を引っ張っていきたい」と意気込んでいる。

 地元出身の実業家渋沢栄一の流れをくむ関根弁之助商店(現深谷倉庫)から関根弥市が独立し、1940年にセキネ商店を創業。農業資材の販売を始め、61年に関根製作所になり、日本初となる鉄骨豚舎第1号を竣工(しゅんこう)し、多頭飼いを可能とする施設として評判を集めた。

 70年にふん尿分離機の製造を開始し、73年に現在の社名に変更。2013年から太陽光発電による売電事業、17年から養豚で発生するふん尿や食品残渣(ざんさ)を原料とするバイオガス発電による売電事業も始めるなど、経営の多角化も図っている。

 「養豚農家のいるところにセキネあり」といわれ、業界のパイオニアメーカー。新たな商品の開発にも余念がなく、篠崎社長は「日本全国にセキネのファンがいる。数値をデータで残せる生産管理システムを作り、AI(人工知能)を使った新しいシステムも作っていければ」と語る。

 近年は人材育成にも力を注いでいる。女性技術者も在籍し、臭いが気にならないよう社内にシャワー室を設置するなど、働きやすい環境を整備。社風は自主性を重んじていて、社員が自分たちで考えながら率先して動く。篠崎社長は「自由な社風で、それが伝統になっている」と語る。

 養豚農家は生産者が減少傾向で、高齢化も進行。特定家畜伝染病に対する対策の徹底や肥料の高騰など、飼育環境は厳しさを増している。篠崎社長は「大変な状況になっている生産者をサポートしながら日本の養豚を守っていきたい。今後の養豚業界も引っ張っていければ」と話している。

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 セキネ 深谷市田所町15の1(電話048・572・5111)。

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