埼玉新聞

 

男性死亡…観光スポットの先で遺体発見 知人と酒飲んだ男性、駐車場でトラブル…車でさらわれ、暴力団組長らが殺害 男性を埋める 事件で使った車、暴力団と隠し新規登録か 組長ら3人を再逮捕

  • 暗闇に包まれた林道で規制を敷く警察官=15日午後5時20分ごろ、小鹿野町日尾

    暗闇に包まれた林道で規制を敷く警察官=2023年11月15日午後5時20分ごろ、小鹿野町日尾

  • 暗闇に包まれた林道で規制を敷く警察官=15日午後5時20分ごろ、小鹿野町日尾

 2023年9月に発生した殺人事件で被害者の逮捕監禁に使われた車両について虚偽の登録を行ったとして、埼玉県警組織犯罪対策(組対)1課と本庄署、秩父署の合同捜査班は7日、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで、本庄市小島6丁目、指定暴力団稲川会傘下組織組長で無職の男(49)=殺人罪などで起訴=ら男3人を再逮捕した。

 再逮捕容疑は21年3月25日、埼玉運輸支局に新規登録する際、実際には無職の男が使用する普通乗用車1台について、秩父市上宮地町の会社役員の男(48)を介し、行田市行田の土木作業員の男(27)を使用者とする虚偽の情報で申請。自動車登録ファイルに事実と異なる記録をさせ、公正証書の原本として同支局に備え付けさせた疑い。県警は共犯事件のため、認否を明らかにしていない。

 同課によると、3人は知人関係とみられ、暴力団との取引拒絶を表明している自動車販売店に対し、土木作業員の男が使用すると説明して購入。今年10月、詐欺容疑で県警に逮捕された。

 県警は23年9月に本庄市の自営業男性=当時(55)=が殺害された事件で、男性を車内に逮捕監禁するのに使われたとして車を押収し、契約状況などについて調べていた。事件では、小鹿野町の山中で男性の遺体が見つかり、関与したとして無職の男ら男11人が逮捕されていた。

■遺体は街灯ない寂しげな場所に(以下、死体遺棄の疑いで再逮捕時の記事)

 埼玉県小鹿野町の山林内に男性=当時(55)=の遺体を遺棄したとして、県警は17日、死体遺棄の疑いで、暴力団幹部ら31~45歳の男4人を再逮捕した。4人は男性への逮捕監禁容疑などで11月1日までに県警に逮捕されていた。県警は同日、本庄署に70人態勢の捜査本部を設置し、男性を遺棄した経緯や事件の背景など、全容解明を目指す。

 逮捕されたのはいずれも指定暴力団稲川会傘下組織幹部で、無職の男(45)=本庄市南2丁目、解体業の男(38)=同市児玉町稲沢=と同組員の無職の男(31)=深谷市上柴町西1丁目、飲食店経営の男(34)=同4丁目=の4容疑者。

 再逮捕容疑は共謀の上、9月4日以降、小鹿野町藤倉地内の山林内に自営業の男性=本庄市南2丁目=を遺棄した疑い。共犯事件で捜査に支障があるとして、認否を明らかにしていない。

 捜査本部によると、9月3日午前9時ごろ、男性の親族から「息子がいない。携帯電話は家にある」と110番があった。県警が行方不明届を受理し足取りを捜査していたところ、同日午前2時ごろ、群馬県伊勢崎市内の飲食店で知人と飲酒後に付近の駐車場で男数人とトラブルになり、男性が車両で連れ去られ、群馬や埼玉県内を転々としていた事実が判明した。

 県警は、逮捕監禁などに関与した24~51歳の男女計16人を11月1日までに逮捕。その後、容疑者の供述や防犯カメラ映像の精査などから小鹿野町の山林に遺体を遺棄した組幹部ら4人を特定した。

 捜査関係者によると、遺体の運搬には車両を利用したとみられ、一連の犯行に使用した車両の一部は押収しているという。遺体は山林の土に埋まっていて、11月15日に発見した。捜査関係者によると、事件の背景には金銭トラブルがあるとみられ、経緯を詳しく調べるとともに、殺人容疑での立件も視野に関与した人物の特定なども進める。

■発見現場は合角ダムの上流 民家や街灯なく

 遺体の捜索が行われた現場は、秩父の人気観光スポット「合角(かっかく)ダム」の園地(小鹿野町日尾)から、長久保川上流に5キロほど進んだ寂しげな山林。道中は、趣のある古民家が点在しているが、奥地へ進むにつれて、対向車とすれ違うことが困難な狭くて険しい一本道が続く。

 15日、捜索活動は長時間にわたって実施され、警察官は街灯も民家もない、真っ暗闇な林道にパトカーを止めて規制していた。

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