埼玉新聞

 

<川口いじめ>うそばっかり…薬飲む毎日の元生徒に校長ら「長い間申し訳ない」 いじめよりつらかったのは

  • 男性に謝罪する茂呂修平教育長と当時の市教委幹部たち=6日

 川口市の市立中学校で在学中にいじめ被害に遭い不登校になったのは学校や市教委の不適切な対応のためだったとして市に損害賠償を求めて勝訴した元生徒の男性(19)宅を、市教委の茂呂修平教育長らが6日訪れ、「長い間つらい思いをさせ、申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 茂呂教育長に続き、男性が在学当時の市教委の教育部長や指導課長、学校長、部活動の顧問教諭らが頭を下げた。

 男性は当時の校長らに「校長先生や教育員会は文部科学省や県教委に、(実際は何度も自宅に来て話をしているのに)僕に会えないとか話していないとか、うそばっかり報告していたんですか」などと質問したが、校長らは「申し訳ありません」と繰り返した。

 男性は報道陣に「いじめよりも学校や教育委員会のうその方がつらかった。うそのために僕は楽しく過ごせるはずだった時間や友だちをたくさんなくした。今でも悔しさや苦しさは消えなくて毎日薬を飲まないと過ごせません。なくしたものを全て返してほしいです」と話した。

 男性は2015年に入学したが、部活動で会員制交流サイト(SNS)を使った嫌がらせや、顧問から体罰を受けて不登校になった。市が設置した第三者委員会はいじめを認定。さいたま地裁は昨年12月、学校がいじめを重大事態として扱わなかったことなどに違法性を認め、市に賠償を命じる判決を言い渡した。奥ノ木信夫市長は控訴断念を公表して謝罪。判決は今月4日に確定した。

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