水道代が値上げも…管理費増で県「ご理解を」 市町村へ供給する水の供給単価、21府県中3番目に安い埼玉
水道用水事業などを所管している県企業局は12日まで、2022年度~26年度を期間とする経営5か年計画素案への県民コメントを募集している。計画素案では、施設の修繕や更新に必要な費用が増え続けていることなどから、県が市町村に供給する水道用水や、工業用水道の料金値上げを検討する必要性を指摘。値上げとなった場合、家庭用水道料金への影響も避けられないとみられる。県企業局総務課は「今後も持続的に水道を供給していくため、県民の皆さまに関心を寄せていただき、ご理解を頂きたい」としている。
県営水道は1968(昭和43)年に事業を開始し、現在は5浄水場から県内34市18町3企業団に水道用水を供給している。給水人口は約728万3千人。
素案によると、施設の維持管理に必要な人件費や薬品費、修繕費が増加していることに伴い、費用などから算出される水道用水の「給水原価」は近年、増加傾向にあるという。一方、市町村へ供給する「供給単価」は99年から20年以上にわたって据え置かれている。1立方メートル当たり税抜き61・78円で全国平均(同90・75円)を下回っている。
都道府県営の水道用水供給事業体は埼玉を含め全国の21府県にあり、2019年のデータで、最も高い供給単価は宮城県の1立方メートル当たり146・41円。埼玉はその半額以下で、21府県中3番目に安い供給単価となっている。
埼玉の供給単価が安い理由は、関東平野にあって施設配置が効率的なことなどがあるという。しかし、県営水道の事業開始以降、50年以上が経過し、浄水場や送水路など水道施設が老朽化が進行していることから、施設の適切な維持管理と計画的な更新を進める必要がある。
水道水の需要は節水機器の普及などから、02年前後をピークに減少傾向にある。人口減少が進んでおり、今後の大幅な需要拡大は見込めないという。
同課によると、料金の上げ幅や時期については現時点では未定。ただ、「卸値」である県営水道が値上げとなった場合、市町村が設定する家庭用水道料金への影響は避けられないことが見込まれる。
92年以降、約30年にわたって料金が据え置かれている工業用水も給水原価が供給単価を上回ることが見込まれるため、料金値上げを検討する必要があるという。
問い合わせは、県企業局総務課(電話048・830・7015)へ。