命日に郷土の偉人をしのぶ 埼玉・深谷市出身の渋沢栄一 大河ドラマで栄一の幼少期を演じた俳優小林優仁さんが小学校で児童と交流 献花式やフォーラムも
新1万円札の肖像に採用された深谷市出身の実業家渋沢栄一(1840~1931年)の祥月命日である11日、郷土の偉人をしのぶ催しが市内各地で行われた。市は同月を「渋沢栄一月間」と位置付けており、市内では献花式やフォーラムなどを実施。同日は「渋沢翁語らいの日」で、市内の小中学校29校で栄一に関わる講話が実施され、大河ドラマ「青天を衝(つ)け」で栄一の幼少期を演じた俳優小林優仁さん(13)も八基小学校を訪れ、児童と交流した。
渋沢栄一記念財団竜門社深谷支部は深谷市西島町のJR深谷駅前の青淵広場で、「第30回青淵忌献花式」を開催。関係者約160人が栄一の銅像前の献花台に花を供え、遺徳をしのんだ。同支部長の小島進市長は「栄一翁の偉大さが身に染みたし、本当にすごい人だった。日本の皆さんに栄一翁の考え方や精神を広げていければ」と述べた。
栄一は県立深谷商業高校の記念館「二層楼」が完成した1922(大正11)年に同校で「至誠」と「士魂商才」を揮毫(きごう)し、記念植樹と講話を行っている。その縁で同校演劇部が栄一をテーマに演劇も披露。部長で2年生の黒沢保翔(ほのか)さん(17)は「渋沢栄一が新1万円札の肖像になり、誇らしい気持ちでいっぱい」と語った。
八基小では「渋沢栄一翁こころざし読本」を活用した授業を6年生約20人を対象に実施。市親善大使でもある小林さんは俳優の仕事について、「普段できない体験ができるので、すごく楽しい」と語り、授業の後には栄一が好んだ煮ぼうとうの給食を味わい、児童らと交流を深めた。同校6年生の原美麗さんは「俳優の夢をかなえていて、すごいなと思った」と笑顔を見せた。
同校に隣接する八基公民館では、「第43回青淵渋沢栄一翁をしのぶにぼうと会」が行われ、栄一が愛した煮ぼうとうを供えた。同校6年生の宮下侑奈さんが「渋沢栄一翁から学んだこと」、豊里中学校3年生の飯塚陸登さんが「郷土の偉人 渋沢栄一」をテーマにした作文も朗読した。
夕方からはフォーラム「渋沢栄一ひとづくりフォーラム2024」(渋沢栄一ひとづくりカレッジ事務局主催)を埼玉グランドホテル深谷で実施。講談師神田あおいさん(成徳深谷高出)が「若き日の渋沢栄一」をテーマに講談を披露した。渋沢栄一賞受賞者の社会福祉法人いわみ福祉会の室崎富恵理事長が「福祉と算盤(そろばん)」を演題に講演した。
夜には深谷駅、市役所、埼玉りそな銀行深谷支店・岡部支店、東京電力パワーグリッド熊谷支社深谷事業所が藍色にライトアップされた。