浅田真央さんが公演、トップ選手の調整も 良質な氷に高い評価、埼玉アイスアリーナで気軽にスケートを
北京五輪が2月4日に開幕する。今回の冬季五輪で日本勢の活躍が期待される競技の一つがスケートだ。上尾市日の出の「埼玉アイスアリーナ」では、五輪を機に注目が高まりそうなスケートを気軽に楽しめる。氷上競技の選手育成の拠点でもある。関東でも数少ない通年型リンクで、県内では唯一。良質な氷への評価は高く、フィギュアスケートの浅田真央さんが公演したこともある。
■通年で滑走可能
上尾運動公園内にある埼玉アイスアリーナは、国際規格のメインリンク(60メートル×30メートル)とサブリンク(46メートル×16メートル)を有する。競技人口の拡大と競技力向上などを目的に2014年に完成した。通年型のリンクで、初心者から上級者まで季節を問わずに利用できる。
サブリンクのフェンスの高さは約1メートルで、初心者はフェンスに手を掛けながら氷の感覚をつかめる。安定度が増す2枚刃のスケート靴の貸し出しも実施。初めて訪れたという鶴ケ島市の2人の女子高校生たちは「『スケートがしたいね』と話していて、来てみたかった。初めての感覚で楽しい」と話した。
来場者は多い時は年間18万人超で推移。現在は一般営業時間を短縮し、入館時の検温や消毒、館内滞留人数の上限を設定するなどの新型コロナウイルス対策を講じている。21年はコロナの影響もあり、入場者数は約13万人だった。
■氷上競技を身近に
一般営業時間外には、スピードスケートやアイスホッケー、フィギュアなどの各種団体が活動し、幅広い年代が競技に親しみながら技術を磨いている。
園児から中学生までを対象に約60人が在籍するアイスホッケークラブ「埼玉ジュニアウォリアーズ」は、週2、3日、同アリーナで氷上練習を実施。代表の佐藤英明さん(49)は「週2、3回(リンクで)練習できるのは本州でも珍しい」と環境に感謝し、「日本代表や世界で活躍できる選手を育てていきたい」と語る。
1964年のインスブルック冬季五輪スピードスケートの日本代表で、県スケート連盟副会長の有賀豊文さんは「スケートは施設と環境が最も重要。最初は遊びに来る感覚でいいので、ぜひ体験してほしい」と、子どもたちとリンクの距離が縮まることを願う。
■トップ選手も来場
アリーナの受付付近には、五輪メダリストらトップスケーターのサイン色紙が飾られている。浅田真央さんは全国ツアーで過去2度、公演している。スピードスケートやアイスホッケー、フィギュアなど各競技の特性に応じ、氷の硬さを細かく調節する機能を備える。リンクは最適な状態が保たれ、大会前の調整を同所で行う選手もいるという。
一般利用者にも好評で、3年前からほぼ毎日通っているという東京都台東区の葛西純子さん(67)は「氷の状態が良いので細かいターンがしやすく、気持ちがいい」とうれしそう。施設の設置・管理をする県スポーツ協会は「競技の普及・発展とともに、愛好者が親しめる場を提供できるよう、今後も魅力を発信していきたい」としている。