埼玉新聞

 

埼玉オリジナルの新イチゴ「べにたま」好評、23年度以降に本格栽培へ 傷みにくく大粒で高糖度

  • 県オリジナル新品種のイチゴ「べにたま」=12日、県庁

 イチゴのシーズン到来を前に県オリジナル品種の「かおりん」「あまりん」が店頭に並び始める中、2018年に開発された新品種「べにたま」が、県内の一部の量販店で限定販売されている。べにたまは、市場出荷向けの県オリジナル品種として約9年かけて育成され、現在品種登録を出願中。県生産振興課は「県内だけでなく県外にも出荷し、埼玉を代表する品種に育てていきたい」としている。

 県生産振興課によると、べにたまは大粒で糖度が高く、控えめな酸味が特徴。果肉がしっかりしていて傷みにくいため、輸送に適している。県農業技術研究センターで、かおりんと「かおり野」(三重県育成品種)を交配して育成された。県内で主に生産、流通している「とちおとめ」に代わる品種を目指すという。加須市と吉見町の生産者が、約0・35ヘクタールで試験栽培しており、23年度以降に本格栽培を開始する予定。

 19年に品種登録されたかおりんとあまりんは、県内の直売所や観光農園などで販売している。ケーキやジャムなどの加工品も好評。県オリジナル品種のイチゴを取り扱う観光農園や量販店、取り寄せなどの情報は「埼玉農産物ポータルサイトSAITAMAわっしょい!」に掲載している。べにたまは1パック(約260~300グラム、3L11粒)1200円前後で購入できる。

 県のイチゴ生産は1963年に作付面積が全国1位だったが、生産者の高齢化や生産の難しさなどから担い手不足に陥った。現在は、都内からの集客が期待できる立地を生かした観光農園の参入が増えており、同課は「県産品種とニーズがマッチすれば、新しい潮流となるのでは」と期待を寄せる。べにたまは3、4年ほどで品種登録され、その後25年は県内限定で生産される見通し。

ツイート シェア シェア