早く撤退を…メガソーラー計画は隠れみので、本当の狙いは残土処分では? 見直し求めた環境省、住民ら喜び
山口壮環境相は25日、小川町で計画されている大規模太陽光発電所(メガソーラー)の環境影響評価(アセスメント)で、計画の抜本的な見直しを求める意見を萩生田光一経済産業相に提出した。土砂の大量搬入による災害や環境破壊の恐れなどを重くみた。2020年4月にアセス対象に加わった太陽光発電で、環境相が抜本的見直しを求めるのは初めて。
意見は環境影響評価法に基づく手続きで、見直しができない場合は「事業の再検討を強く求める」とした。経産相は2月上旬までに事業主体の「小川エナジー合同会社」に改善などを勧告する。
■残土処理目的か 環境省が疑問視
小川町の大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画に対し、抜本的な見直しを求めた25日の環境相意見は、敷地内に残土を大量搬入する点を特に疑問視した。環境省は、発電事業の形をとりつつ残土処理が目的の可能性もある特異な例とみており「各地で再生可能エネルギーを適切に導入する方針に影響はない」とする。
■地元の声届いた 「1日も早い撤退」住民期待
小川町の大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画に、山口壮環境相が25日、計画の抜本的な見直しを求める意見を出した。自然環境への影響や残土を大量搬入する計画に懸念の声を上げていた地元の市民団体などは環境相の意見を「住民の声をくみ取ってくれた」と評価した。
メガソーラー計画は、寄居町の民間事業者が小川町飯田、笠原など約86ヘクタールの敷地に、出力3万9600キロワットの太陽光発電施設を建設するもので、敷地は1990年代に開発中止となったゴルフ場跡地が中心となっている。
市民団体「比企の太陽光発電を考える会」は一昨年の4月から開発予定地で野鳥の独自調査を始め、絶滅の恐れがある鳥ミゾゴイや、サシバの繁殖活動を確認。「貴重な自然環境、開発は中止すべきだ」と訴えてきた。
同会代表の小山正人さんは「今までは業者に住民が振り回されていたが、(環境相の意見は)その点を踏まえて地域との共生が重要だとしており、繁殖期には工事を『回避する』とはっきり言っていて画期的だ。これからは再生エネルギーの開発は住民意見の尊重が不可欠になるのではないかと思う」と話した。
同会小川支部代表の桜井薫さんは「地元住民の声をきちんとくみ取ってくれて非常に評価できる。(事業者には)一日も早く撤退を表明してもらいたい」と強調した。
計画地に隣接して山林を所有する「小川里山クラブYouYou」代表の佐藤章さんは「山に行くには計画地のある道を通らなければ行けない。(事業者は当初)残土処分を計画していた。太陽光発電所計画は隠れみので、狙いは今も残土処分ではないかと懸念している。事業者の環境評価に地元住民の意見書が534通も出ているのも大きかった。(環境相の意見は)地域の実情を踏まえ、地域との共生、環境配慮など、よく調べている」と評価した。
土砂災害が発生した場合、住民の生命財産に甚大な被害が及ぶことを懸念する小川町は「関係機関の連携や地域住民らへの十分な説明を求めることや、環境への負荷が生じることが考えられる土砂の搬入を前提としない工事計画の見直しが必要であり、それができない場合は事業実施を再検討することを強く求めており、町民の不安に寄り添った意見を出していただいた。事業者には重く受け止めてほしい」とのコメントを出した。