空き地を子どもの遊び場に!学生ならではの視点と発想…斬新なアイデア次々と 寄居で大学院の学生ら、まちのデザインを提案 まちづくりの在り方、変化をと期待 残される課題は
東京電機大学大学院の学生が行政や住民の声を通じて地域の現状や課題を捉え、学生ならではの自由な視点と発想で、まちのデザインを提案する取り組み「まちデザインプロジェクト2024」を寄居町で実施している。町は学生の取り組みが関係人口を増やし、従来のまちづくりの在り方に変化をもたらすきっかけになることを期待している。
■町にプレゼン
「空き地を子どもの遊び場に転換します」。11月28日午後、寄居町商工会SPARK1階で、東京電機大学大学院未来科学研究科建築学専攻の約25人が7チームに分かれ、プレゼンテーションを行っていた。参加者たちは町の現状や課題を抽出し、町へのヒアリングや地元住民の声の調査を実施。まちづくりに関する問題点と解決案のプランなどを作成し、峯岸克明町長らにプレゼンを行った。
プレゼンでは、精巧なまちデザイン模型を提示しながら、町中央公民館を子どもの遊び場空間を中心とした多機能施設として建て替えたり、町内の山車が見学できるお祭り拠点の整備など、斬新なアイデアが次々と発表された。まちデザイン模型は12月4日まで、寄居駅南口駅前拠点施設「Yotteco(ヨッテコ)」2階で展示されている。
■まちの活性化
同大学院では山梨県甲州市で2018年度から22年度まで、まちの現状や課題を学生が把握し、駅前の活性化や空き家・空き店舗活用に関する提案などを地元住民に発表し、まちの活性化につながる「タネ」になるような活動を行ってきた。その後は地元事業者からの声がけで、実際のデザイン提案も行うなど、継続的に活動を続けているという。
23年度から活動のフィールドを寄居町に移し、同様の取り組みを実施。町は18年に「中心市街地活性化基本計画」が全国の町村で初となる国の認定を受け、22年度までの5年間で中心市街地活性化事業を行い、寄居駅南口を中心とする市街地の整備が完了した。整備したハードを活用したまちなか回遊の促進や中心市街地のにぎわいの創出など、まちづくりは新たなステージに入っている。
■残る課題も
寄居駅南口は真新しくなった一方で、駅付近には大型スーパーマーケット「ライフ寄居店」が13年に閉店後、そのままの状態が続く。プレゼンでも活用案が発表されたが、最近は付近で新たな飲食店も出店されていなく、まちづくりでは課題も残されている。
プレゼン終了後、峯岸町長は「現実的には費用の問題などで難しい部分はあるが、いい提案をたくさんしてもらった。今後も建物を使う人が笑顔になる提案をしてもらえれば」と講評。プレゼンを行った新井海斗さん(25)と小沢陽斗さん(22)は「実際にまちづくりを行う町長にプレゼンできたのは貴重で、いい経験になった」と話していた。