埼玉新聞

 

<新型コロナ>埼玉「まん延防止」延長要請、医療体制が厳しく ピークアウト後も増える病床使用率

  • 政府にまん延防止等重点措置の延長を要請したことを説明する大野元裕知事=8日午後、県庁

 県は8日、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、県内全域を対象に1月21日から今月13日までが適用期限となっている「まん延防止等重点措置」について、3週間程度の延長を政府に要請した。大野元裕知事は会議後、記者団に「医療提供体制は緊急事態宣言に至らなくとも非常に厳しい状況にある。仮にきょう、ピークアウトしても病床使用率は後から増える。まん延措置解除の判断は残念ながらできない」と述べた。

 措置内容はこれまでと同様で、政府の基本的対処方針をもって正式に決定する。岸田文雄首相宛てに提出した要望書では、新規感染者の増加傾向が続き、医療への負荷が増していることから、国と県がより一層連携し、オミクロン株の特性を踏まえた感染防止対策強化の必要性が強調された。

 年明け以降の感染者急増を受け、県内では13日までを期限とし、飲食店に時短営業を要請するなど、まん延防止等重点措置による感染防止対策が行われている。1月末には1日の新規感染者が初めて3千人を超え、同30日には5313人に達した。今月に入ってからも新規感染者の増加傾向は続き、5日にはこれまで最多となる7358人が確認された。

 感染者増加に伴って医療提供体制の逼迫(ひっぱく)も顕著になっており、7日夜時点の県内確保病床の使用率は56%(1218人/2176床)、うち重症は19%(47人/247床)。1人から何人に感染が広がるかを示す実効再生産数は7日時点で1・27で、爆発的感染拡大時からはやや落ち着いたものの、依然として感染は拡大傾向にある。

 対策本部会議に先立って県は専門家会議を実施。会議に出席した県医師会の金井忠男会長は「感染者増加スピードはやや落ち着いたが、オミクロン株による重症化ではなく、感染者の基礎疾患が悪化するケースも多い」と指摘し、引き続きの対策が必要とした。

 また、大野知事ら首都圏1都3県知事は8日、政府に対し、まん延防止等重点措置延長に当たって、オミクロン株の特性を踏まえ、今後の対応方針や具体的措置、重点措置解除の考え方を政府の基本的対処方針で明確に示すことを要望している。

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