埼玉新聞

 

心病む教職員が増加…精神疾患で長期病休、さいたま市すでに前年度超え 長時間の過密労働、上司パワハラも

  • さいたま市役所=さいたま市浦和区常盤

 精神疾患を理由に1カ月以上にわたり長期病休しているさいたま市立学校の教職員が2021年4~12月で88人に上ることが8日、分かった。前年度の1年間は84人で、9カ月で既に上回っている。江原大輔市議(さいたま自民)が、同日の市議会2月定例会の代表質問で指摘した。

 市教委によると、精神疾患を理由とした18年度の長期病休は、教職員77人、市教委事務局職員23人の計100人。19年度は教職員79人、事務局職員21人の計100人。20年度は教職員84人、事務局職員28人の計112人。21年4~12月は教職員88人、事務局職員18人の計106人だった。

 江原市議によると、市教委の内外から、新たな課題が出され、心身ともに疲労していると多くの声が届いたという。校長からは教職員を救ってほしいと手紙が届いたとして、市教委に対応を求めた。

 市教委は病休の理由について、職場での人間関係、業務量の増加、家庭環境の悩みなどさまざまとしている。保健師や産業医が面談などを行って、円滑に職場復帰できるように支援しているという。

 江原市議は細田真由美教育長の聞く力についても質問。「北風と太陽」のイソップ童話を引き合いに、「現場の教職員の声を聞き、病欠者がこれ以上出ない働きがいのある教育委員会を目指してほしい」と要望。細田教育長は「(聞く力が)足りないとの指摘を頂いた。もっと聞く力をつけたいと思う」と述べた。

 市教職員組合は、長時間の過密労働が長期病休の大きな要因として、働き方改革を市教委に求めている。新型コロナウイルスの感染拡大による影響や業務量の増加、上司らからのパワハラも要因とみられている。同組合はホームページでハラスメントに関する調査を実施し、数多くの相談が寄せられているという。市教委に対して、全教職員を対象にした調査を実施するなどして、実態を把握するよう要請した。市教委は複数の相談窓口を設け、実態把握に努めているとしている。

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